あまりこういうのやると「自己宣伝がひどい」と言われますが…
(実際、本当に活躍している学者はふりかえる暇もなく業績を出しつづけていますし、必然的に自分の業績をいちいち数えたりしないものでしょう。しかし、そんな数少ないすぐれた学者でも、さまざまな事情により数えざるをえなくなっているのが現状です)
2016年は論文五本、共訳書二冊(あとエッセイ一本)でした。
ぱっと見、論文が多いですが、これはむしろ2016年以前からやっていた仕事がまとまったためたまたまですね。
モレッティ『遠読』は2014年秋に企画をもちこみ、実際に翻訳作業をはじめたのは2015年3月。
『ナボコフの塊』も2014年秋に企画をもちこみ、実際に作業をはじめたのは2015年3月ぐらいですね。
「ナボコフとエリオット」は、日本T.S.エリオット協会の2015年秋のシンポジウムの草稿をあらためたもの。
西脇順三郎論は2015年6月に白百合女子大のオムニバス講義でしゃべったことから発展して新たに書いたもの(これはほぼ書き下ろしです)。
(呼んでいただいた愛知学院大学・山口先生、白百合女子大学・海老根先生ほかに感謝です)
また、『文学』特集「世界文学の語り方」も、2014年末から月一~隔月で研究会をしていたのが形になったもの。
しかし、なかでも一番時間がかかってしまったのがNabokov and Lauglinですね。これは2012年からしていた調査をまとめたもので、書きはじめたのが2013年で、刊行されるまで3年ぐらいかかってしまいました。
そのこともあって、個人的には思いいれが深い論文なのですが、(英語ということもあって)じつはほとんど読まれてない(??)論文ですね。まあ、どうでもいいですが……
今年のアウトプットに勝手に順位をつけると
1 "Nabokov and Laughlin: A Making of an American Writer"
2 『ナボコフの塊』
3 「書き直し」としての自己翻訳――ノーベル文学賞候補西脇順三郎の「神話」
ですね。
『遠読』はさいわいなことに(売れゆきはともかく)、多くの人にメンションいただき、書評もたくさん書いていただいたのですが(ありがとうございます!)、『ナボコフの塊』はマニアックすぎたのか、書評は(山形さんのぞき)ゼロですからね。二か月連続で刊行したのも悪かったのだと思いますが、私は刊行予定に口を出せる立場ではなく、編集者が出してやると言うときに出すしかない(笑)。
また、こうしてみると、自分の仕事がナボコフ関係と世界文学関係にきれいにわかれてしまったなあ、と。この辺、このまま交わらない並行関係でいくのか、どっちかに吸収されていくのか、わからないですが…
と、無意味なことを書いているうちに2016年も終わってしまいました。2016年はインプットの年にしようと思ったのですが、私にしては出版が多くあまり…
2017年はがくっと出版が減るはずなので、今年こそはインプットをしたいと思います。