訳すのは「私」ブログ

書いたもの、訳したもの、いただいたものなど(ときどき記事)

アメリカ

IWLに参加しよう 10 まとめ

9まででIWLの内容についての話は終わりなんですが、 今後の予定について、すでに2017年までIWLのサイトで発表されています。 City University, Hong Kong, 23 June – 17 July 2014 University of Lisbon, Portugal, 22 June – 16 July 2015 Harva…

IWLに参加しよう 9 その他アクティヴィティ

これだけ内容の充実したサマースクールなんですが、 勉強以外のコンテンツも盛りだくさんなんですね。 授業がない日には比較文学科の院生が引率して、 美術館や花火、ビーチに連れて行ってくれたりします。 今回の主なアクティヴィティ・レセプションは以下…

IWLに参加しよう 8 アフィニティ・グループ

セミナー、レクチャー、パネルときてもうお腹いっぱいなんですが、 まだあるんですね(笑)。 サンプルライティングを申し込みのときに出すんですが、 それによって「アフィニティ・グループ」というグループに振り分けられます。 グループごとに週二回ほど…

IWLに参加しよう 7 パネルセッション

IWLではレクチャーだけでなく、パネルも開催されます。 今回のパネルはこちら。 Panel sessions June 28: Debating World Literature: Djelal Kadir (ch), Nirvana Tanoukhi, Lawrence Venuti; Emily Apter, respondent July 2: Program Design: Helena B…

IWLに参加しよう 6 レクチャー

IWLはセミナーだけでなく、レクチャーも充実しています。今年のレクチャーはこんな感じでした。 Plenary Lectures June 24: Homi Bhabha (Harvard): “On Living Side by Side: Who Is at Home in Globalization?" June 25: David Damrosch and Theo D’haen, …

IWLに参加しよう 5 レジストレーションとオリエンテーション

さて、なんだかんだでセミナー初日。 初日は午前中にレジストレーションとオリエンテーションがあります。 レジストレーションでは料金の支払いの確認と、コースパックの受領、あとTシャツのサイズをきかれます。 Tシャツは参加者全員の名前とIWLのロゴ…

IWLに参加しよう 4 セミナー

IWLのセミナーについてもう少しくわしく説明しておくと、 今年は以下のような題目のセミナーがひらかれました。 June 24-July 5 Susan Bassnett, “World Literature and Translation Studies” Helena Buescu, “Doing Things in World Literature” David Damr…

IWLに参加しよう 3 準備

IWLに参加が決まると、どのコースを受講するか、 希望を出します。今年度の講師はこちら。 Susan Bassnett, Warwick UniversityHelena Buescu, University of LisbonDavid Damrosch, Harvard UniversityTheo D’haen, University of LeuvenWai Chee Dimock…

IWLに参加しよう 2 アプリケーション

IWLの募集は4か月前?ぐらいからIWLのサイトでおこなわれます。 参加資格は大学生以上の世界文学を勉強している/したい人で、 やる気があれば学部生でも参加できます(年齢制限18歳以上)。 実際、参加者はヴァラエティーに富んでいて、 学部生から大…

IWLに参加しよう 1 はじめに

2013年6月24日から7月18日までケンブリッジ市でひらかれたIWLのセッションに参加しました。 IWL(The Institute for World Literature)とは、 その名の通り「世界文学」の普及のため、 ハーヴァード大学のデイヴィッド・ダムロッシュが設立した組織で…

Nabokov@Cambridge-Wellesley-Boston: Index

Index Nabokov@Cambridge0: Introduction Nabokov@Cambridge1: Museum of Comparative Zoology Nabokov@Cambridge2: 8 Craigie Circle, 1942-1948 Nabokov@Cambridge3: 9 Maynard Place, Feb. -June 1952 Nabokov@Cambridge4: Widner Memorial Library Nabok…

Nabokov@Boston: Hotel The Vendome, June, 1950

以前、ナボコフは基本的にはボストンに住まなかった、ということを書きました。そのわずかな例外がこのホテル・ヴァンドームです。 コーネル大学時代、以前から歯が悪かったナボコフはすすめられて歯を全部抜き、総入れ歯にします。その際かかったのがボスト…

Nabokov@Wellesley4: 6 Cross Street, Summer 1946

さて、1945年の夏に滞在してあらためてウェルズリーが気に入ったのでしょうか、1946年の夏にナボコフはまたウェルズリー市内の先生の家を一ヶ月ほど間借りしました。それが6 Cross Streetの家でした。ここでナボコフは来学期の講義の準備をしたといいます。 …

Nabokov@Wellesley3: 9 Abbott Street, Summer 1945

1941年から1942年までウェルズリー市に一年間住んでいたナボコフですが、その後はどうだったのでしょうか。 一年はさんだ1943年からふたたびウェルズリー大学で、今度は日本で言うところの非常勤講師のような身分で、主に初級のロシア語を中心に教え始めます…

Nabokov@Wellesley2: 19 Appleby Road, Sep. 1941 to Aug. 1942

ウェルズリー大学に職を得たナボコフがはじめてアメリカで腰を落ち着けた場所、というべき場所が19 Appleby Roadでした。ここにナボコフ一家は1年ほど住むことになります。ウェルズリー大学のキャンパスから15分ほどあるいたところにありました。 On their r…

Nabokov@Wellesley1: Wellesley College

ケンブリッジ市は前回まででひとくぎり。今度は周辺のゆかりの地をめぐってみましょう。 1940年にアメリカにやって来たナボコフはいくつかの大学で講師として仕事をしていました。ウェルズリー大学もそのうちのひとつでした。とりあえず、1941年から42年にか…

Nabokov@Cambridge9: 6 Plympton Street, Grolier Bookshop

今回はやや番外編を。 ハーヴァード周辺の書店として巨大なCoop書店以外で目に付くのは、老舗のハーヴァード・ブック・ストアとグロリエ・ポエトリー・ブックショップでしょう。入り口です。6、7畳ほどの広さしかないですが、書架の上にはゆかりの作家の写…

Nabokov@Cambridge8: Sheraton Commander Hotel, Sanders Theatre, Apr. 1964

1964年4月、『エヴゲーニイ・オネーギン』訳注がようやく出版される運びになったため、アメリカを訪れていたナボコフはハーヴァードの朗読会に招かれました。 このときがナボコフにとって最後のreadingになったとともに、最後のケンブリッジ訪問になりました…

Nabokov@Cambridge7: 4 Kirkland Place, 1956

『オネーギン』の準備中に16 Chauncy Streetに滞在していたナボコフ夫妻は、ハーヴァードの比較文学科教授にして友人のハリー・レヴィンの家でさまざまな人々と旧交を温め合いました。レヴィンの妻エレーナはロシア系だったこともあり、ヴェラとはナボコフ没…

Nabokov@Cambridge6: 16 Chauncy Street, Feb. 1956

1956年2月、ナボコフは『エヴゲーニイ・オネーギン』訳注のための資料集めにまたまたケンブリッジを訪れます。その際宿泊したのが16 Chauncy Streetにあったホテルでした。これが最後の調査になります。 At the beginning of February the Nabokovs set off …

Nabokov@Cambridge5: 35 Brewster Street, 1737 Cambridge Street, Feb. - Apr. 1953

1953年の2月1日、ナボコフ夫妻は『エヴゲーニイ・オネーギン』の訳注の作業のため、ケンブリッジを再訪します。 最初、友人を介して紹介されたのが35 Brewster Streetにあった家でした。 On Feburary 1 the Nabokovs arrived at 35 Brewster Street, Cambrid…

Nabokov@Cambridge4: Widner Memorial Library

1953年から1956年頃まで、ナボコフはプーシキン『エヴゲーニイ・オネーギン』の英訳とその注釈の作業に本格的に取り組みはじめ、そのためになんどもケンブリッジを訪れています。 ナボコフが訳注『エヴゲーニイ・オネーギン』の資料集めのために、たびたび訪…

Nabokov@Cambridge3: 9 Maynard Place, Feb. -June 1952

コーネル大学に赴任したナボコフがケンブリッジに帰ってくるのは1952年2月、サバティカルをとった友人、ハーヴァード大学スラブ文学科教授、ミハイル・カルポヴィチの代わりとして教鞭をとるためでした。結局、6月20日まで滞在することになります。 スラブ科…

Nabokov@Cambridge2: 8 Craigie Circle, 1942-1948

続きです。ナボコフが初めて住んだケンブリッジの住所であり、以後、一時的に旅行や下宿で留守にすることはあっても、基本的にここを拠点にすることになりました。ブライアン・ボイドによると、アメリカでの住所としてはもっとも長く使われたとのことです。 …

Nabokov@Cambridge1: MCZ

まえがきを未読の方はこちらをご覧ください。 ナボコフは生物学の学位を持っていたわけではないですが、鱗翅類、とりわけシジミチョウ類については専門的な知識を持っていました。 ナボコフはハーヴァード大学比較動物学博物館(MCZ)に1941年10月から最初は…

Nabokov@Cambridge0: Introduction

ウラジーミル・ナボコフの生涯はおおまかに ・ロシア時代(1899-1919) ・イギリス・ドイツ・フランス時代(1919-1941) ・アメリカ時代(1941-1960) ・スイス時代(1960-1977) の四つにわけられることが知られています。 それぞれの時期がほぼ均等、だいたい20年…