訳すのは「私」ブログ

書いたもの、訳したもの、いただいたものなど(ときどき記事)

ナボコフ

『アメリカのナボコフ――塗りかえられた自画像』(慶應義塾大学出版会)

拙著『アメリカのナボコフ――塗りかえられた自画像』が刊行されました。 前著『訳すのは「私」』が出てから7年以上もかかってしまいました。 しかし、その分そのあいだの研究の変化を可能なかぎりおさめることができました。 yakusunohawatashi.hatenablog.com…

「作家の写真を読む― 『ロリータ』の著者ナボコフは、いかに世界的作家になったか」

お招きいただきまして、東京外国語大学でお話しさせていただくことになりました(ありがとうございます)。 東京外国語大学 研究講義棟104教室 2018年5月15日(火)16:00-17:30 1958年、中年男がローティーンの少女に惹かれるというセンセーショナルな内容の…

『アメリカのナボコフ――描きかえられた自画像』(慶應義塾大学出版会)詳細目次公開

慶応義塾大学出版会から刊行予定の『アメリカのナボコフ――描きかえられた自画像』の校正が終わり、発売日も5月18日に決まりましたので(amazonだと19日)、節までふくめた詳細な目次をあげておきます。 序 章 ナボコフと読者たち 1 ナボコフ、アメリカ…

ナボコフのアーカイヴを訪ねて⑭ ハーヴァード大学大学稀覯館・特別コレクション

アーカイヴ紀行の14回目です。 いよいよハーヴァード大学のアーカイヴを紹介するのですが、ナボコフ関係に絞ってもいくつかロケーションがあるため、数回にわけて記事化したいと思います。 まず今回はハーヴァード大学の地下にある大学稀覯館University arch…

Nabokov@New York City18, 250 W 104 St, app. 43, August 1954

1954年8月、ニューメキシコに旅行に来ていたナボコフ、ヴェラ、ドミトリイですが、借りていたロッジの貯水槽で動物が死んでおり、ヴェラが感染症になってしまいます。 On Tuesday, August 10, she [Vera] was driven to a doctor in Alburquerque. His diagn…

2018年度 日本ナボコフ協会大会のおしらせ

2018年度の日本ナボコフ協会の大会が以下の要領でおこなわれます。ふるってご参加ください。今回はパネルと、海外の研究者をまねいての講演一本です。 2018年度の大会は5月12日(土)、東京大学本郷キャンパスにて行われます。 ふるってご参加ください。(一…

Nabokov@New York City17 38 West 89th Street, September 5- 1943

1943年、ナボコフ一家は夏を一家でニューディレクションズ社の社主ジェイムズ・ロフリンの経営するユタ州のアルタ・ロッジで過ごしました。新学期のためケンブリッジに帰る途中、列車での旅だったようですが、どうもニューヨークに立ち寄ったようです。 アメ…

Nabokov@New York City16, Master Institute Theater, December 8 1951

ナボコフは1951年12月8日にもニューヨークでロシア語朗読会をおこなっています。 Early in December they jouneyed to New York, where on December 8 the Russian emigre community staged a Nabokov reading at the Master Institute Theater. Nabokov spe…

ナボコフ・コレクションの刊行時期について

かねてより告知していた新潮社ナボコフ・コレクションですが、 版元の都合により、刊行時期が変更になりました。 www.shinchosha.co.jp 4月刊行の予定だった第三巻ですが、12月刊行になりました。 (ちなみに私はすでに『密偵』の訳文と訳者解説を新潮社に送…

Nabokov@New York City15, Academy Hall, 314 West 91 Street, May 7 1949

1949年5月、ナボコフはすでにケンブリッジからイサカに引っ越していましたが、ニューヨークでロシア語朗読会をおこないました。 当時の招待状は以下のようなものだったといいます。 相互扶助「希望」協会 ご招待 V・V・シーリンによる朗読会 「「詩と解説…

Nabokov@New York City14 Artist Club, 121 West 54 Street, November 10 1940

ナボコフのアメリカ到着直後の1940年におこなわれた二回目のニューヨーク朗読会は11月10日におこなわれました。また、現地紙『新しいロシアのことば』は予告を載せました。 121ウェスト54番街のアーティスト・クラブにて、明日の夜八時より、V・V・シーリ…

Nabokov@New York City13 Hamilton Grange branch of the New York Public Library, October 12 1940

前々回、朗読会の場所について紹介したので、いくつかニューヨークでおこなわれたほかの朗読会の場所を紹介しましょう。 はじめに、記録にあるアメリカ最初の朗読会の話です。 1940年5月にニューヨークに到着したナボコフは、その年にいくつかニューヨークで…

Nabokov@New York City12 Rockfeller Centor studios, 26 November 1958

1958年10月につづいて、ナボコフ夫妻は11月にもニューヨークをたずねます。今回のニューヨーク滞在は、初のTV出演であるCBCのインタヴューの収録がロックフェラーセンターであったのです。 She felt differently about his first televison appearance, a …

Nabokov@New York City11 Waldorf Astoria New York, October 1958

久しぶりにNabokov@New York Cityの更新です。 1958年8月、アメリカ版『ロリータ』が パットナム社より刊行されると、ナボコフの周囲はにわかにあわただしくなっていきます。 10月、ナボコフ夫妻は2週間ほどニューヨーク・シティを訪れることになりました。…

ナボコフのアーカイヴを訪ねて⑪ ウェルズリー大学クラップ記念図書館

アーカイヴ紀行も11回目になりました。 今回はウェルズリー大学です。 ウェルズリー大学一般についての情報はこちらもご覧ください。 yakusunohawatashi.hatenablog.com ボストン郊外のウェルズリーに位置する名門女子大であるウェルズリー大学は、ナボコフ…

ウラジーミル・ナボコフ「密偵」(冒頭部)『新潮』2018年1月号、188-191頁。

発売中の『新潮』2018年1月号に ナボコフの「密偵」の冒頭部を訳しました。 「密偵」は以前は『目』として白水社から小笠原豊樹訳で刊行されていた作品です。 今回、『新潮』では特集を組んでいますが、 先月の『すばる』の「ヴェラの手紙」とは違って、 す…

ナボコフのアーカイヴを訪ねて⑨ テキサス大学オースティン校ハリーランサムセンター

アーカイヴ紀行の9回目です。 今回は東海岸から大きく飛びまして、テキサス大学オースティンのハリーランサムセンターをご紹介します。 オースティンはテキサスの州都、テキサス大学オースティン校は名門として知られます。 おなじみの州議事堂。 広いキャン…

ナボコフのアーカイヴを訪ねて⑧ アメリカ自然史博物館

ナボコフ関連の資料が所蔵されているのは、図書館ばかりとは限りません。 ひとつが、博物館です。 ニューヨークのアメリカ自然史博物館は、ナボコフが調査研究をおこなっていたこともあり、研究員とナボコフとの書簡がのこされています。 yakusunohawatashi.…

ナボコフのアーカイヴを訪ねて⑥ コーネル大学カール・A・クロック図書館

アーカイヴ紀行の6回目です。今回はコーネル大学です。 コーネル大学の所在地であるニューヨーク州イサカについては前にナボコフの旧居ツアーをしました。 yakusunohawatashi.hatenablog.com イサカの丘の上にあるコーネル大学、そのメインライブラリーのオ…

ナボコフのアーカイヴを訪ねて⑤ コロンビア大学バフメチェフ・アーカイヴ

アーカイヴ紀行の5回目はコロンビア大学バフメチェフ・アーカイヴです。 コロンビア大学はニューヨーク、マンハッタンのアッパーウェストサイドにあります。このあたりは昔は治安が悪かったそうですが、いまはそうでもない感じです。 印象的なドームのロウ記…

ナボコフのアーカイヴを訪ねて④ イェール大学バイネキー稀覯本・草稿図書館

アーカイヴ紀行の四回目はイェール大学バイネキー稀覯本・草稿図書館です。 イェール大学はコネチカット州ニューヘイヴンに所在する私立大学です。 バイネキー稀覯本・草稿図書館はその荘厳な、英国風キャンパスのはずれにあります。 現代的な、かっこいい外…

「ナボコフは世界文学か? 亡命・二言語使用・翻訳」inシンポジウム「複数の言語、複数の文学──やわらかく拡がる創作と批評」

今年の3月12日に駒場でおこなったシンポジウムの書きおこしが『すばる』に掲載されました。 「複数の言語、複数の文学──やわらかく拡がる創作と批評」『すばる』11月号、270-287頁。 (私はSession 2「ナボコフは世界文学か? 亡命・二言語使用・翻訳」275-2…

ナボコフのアーカイヴを訪ねて③ 議会図書館音楽部門

前回紹介した議会図書館には、Nabokov papers以外にもナボコフ関連の貴重な資料は数多く保管されています。その多くは書簡類で、別々の人間がそれぞれ寄付してしまうと、それぞれの文書・コレクションに分散してしますことになります。 すべてをあげるのは不…

ナボコフのアーカイヴを訪ねて② 議会図書館草稿部門

「ナボコフのアーカイヴを訪ねて」二回目は議会図書館です。 1959年に『ロリータ』のヒットによってふりかかった莫大な税金を減免するために、ナボコフは手元にあった原稿や書簡の一部を議会図書館に寄贈することにしました。完璧主義者の作家は、寄贈後50年…

ナボコフのアーカイヴを訪ねて① ニューヨーク公共図書館バーグコレクション

アーカイヴ探訪の一回目はニューヨーク公共図書館のバーグコレクションです。 マンハッタンのフィフス・アヴェニューの42番街にあって、ブライアント・パークに隣接した二頭のライオンでおなじみの公共図書館です(「公立」図書館ではない)。 『ゴーストバ…

ナボコフ没後40周年特別企画アンケート

7月2日はナボコフの命日です。1977年7月2日にナボコフは亡くなりました。 マキシム・シュライヤー先生から依頼をいただき、 ナボコフ没後40周年特別企画アンケートに回答しました。 www.colta.ru ロシア語ですが。 回答者は ユーリイ・レヴィング、アンドレ…

Nabokov and Hearn: Where the Transatlantic Imagination Meets the Transpacific Imagination

論文を寄稿した本が刊行されました。 "Nabokov and Hearn: Where the Transatlantic Imagination Meets the Transpacific Imagination," Nabokov Upside Down. Evanston: Northwestern University Press. 2017. pp. 158-168. いや、3月にでたのは知っていた…

ナボコフとエリオット――「ゲーム」から「モラル」へ、「歴史」から「伝記」へ

論文が刊行されました。 「ナボコフとエリオット――「ゲーム」から「モラル」へ、「歴史」から「伝記」へ」『T.S. Eliot Review』27号、2016年、52-68頁。 去年の11月に、日本T.S.エリオット協会で発表させていただいたことをまとめたものです。 yakusunohawa…

Nabokov@New York City10 304 West 75 Street

新しくわかったNYCでの滞在先を記しておきます。 亡命ロシア人で、編集者・ビジネスマンのロマン・グリンベルグのアパートにたびたび滞在していたようです。名前からしてユダヤ系でしょうね。 ロマン・グリンベルグ(1893-1970)がナボコフと知り合った…

Nabokov@New York City9 American Museum of Natural History

3年ぶりぐらいのシリーズです。 1940年代、ケンブリッジ・ボストン近郊に住んで、蝶についての調査をMCZで始めていたころのナボコフが、たびたび訪問したのがニューヨークのAmerican Museum of Natural History(アメリカ自然史博物館)です。 77番街―81…