訳すのは「私」ブログ

書いたもの、訳したもの、いただいたものなど(ときどき記事)

ナボコフ

ナボコフのアーカイヴを訪ねて⑥ コーネル大学カール・A・クロック図書館

アーカイヴ紀行の6回目です。今回はコーネル大学です。 コーネル大学の所在地であるニューヨーク州イサカについては前にナボコフの旧居ツアーをしました。 yakusunohawatashi.hatenablog.com イサカの丘の上にあるコーネル大学、そのメインライブラリーのオ…

ナボコフのアーカイヴを訪ねて⑤ コロンビア大学バフメチェフ・アーカイヴ

アーカイヴ紀行の5回目はコロンビア大学バフメチェフ・アーカイヴです。 コロンビア大学はニューヨーク、マンハッタンのアッパーウェストサイドにあります。このあたりは昔は治安が悪かったそうですが、いまはそうでもない感じです。 印象的なドームのロウ記…

ナボコフのアーカイヴを訪ねて④ イェール大学バイネキー稀覯本・草稿図書館

アーカイヴ紀行の四回目はイェール大学バイネキー稀覯本・草稿図書館です。 イェール大学はコネチカット州ニューヘイヴンに所在する私立大学です。 バイネキー稀覯本・草稿図書館はその荘厳な、英国風キャンパスのはずれにあります。 現代的な、かっこいい外…

「ナボコフは世界文学か? 亡命・二言語使用・翻訳」inシンポジウム「複数の言語、複数の文学──やわらかく拡がる創作と批評」

今年の3月12日に駒場でおこなったシンポジウムの書きおこしが『すばる』に掲載されました。 「複数の言語、複数の文学──やわらかく拡がる創作と批評」『すばる』11月号、270-287頁。 (私はSession 2「ナボコフは世界文学か? 亡命・二言語使用・翻訳」275-2…

ナボコフのアーカイヴを訪ねて③ 議会図書館音楽部門

前回紹介した議会図書館には、Nabokov papers以外にもナボコフ関連の貴重な資料は数多く保管されています。その多くは書簡類で、別々の人間がそれぞれ寄付してしまうと、それぞれの文書・コレクションに分散してしますことになります。 すべてをあげるのは不…

ナボコフのアーカイヴを訪ねて② 議会図書館草稿部門

「ナボコフのアーカイヴを訪ねて」二回目は議会図書館です。 1959年に『ロリータ』のヒットによってふりかかった莫大な税金を減免するために、ナボコフは手元にあった原稿や書簡の一部を議会図書館に寄贈することにしました。完璧主義者の作家は、寄贈後50年…

ナボコフのアーカイヴを訪ねて① ニューヨーク公共図書館バーグコレクション

アーカイヴ探訪の一回目はニューヨーク公共図書館のバーグコレクションです。 マンハッタンのフィフス・アヴェニューの42番街にあって、ブライアント・パークに隣接した二頭のライオンでおなじみの公共図書館です(「公立」図書館ではない)。 『ゴーストバ…

ナボコフ没後40周年特別企画アンケート

7月2日はナボコフの命日です。1977年7月2日にナボコフは亡くなりました。 マキシム・シュライヤー先生から依頼をいただき、 ナボコフ没後40周年特別企画アンケートに回答しました。 www.colta.ru ロシア語ですが。 回答者は ユーリイ・レヴィング、アンドレ…

Nabokov and Hearn: Where the Transatlantic Imagination Meets the Transpacific Imagination

論文を寄稿した本が刊行されました。 "Nabokov and Hearn: Where the Transatlantic Imagination Meets the Transpacific Imagination," Nabokov Upside Down. Evanston: Northwestern University Press. 2017. pp. 158-168. いや、3月にでたのは知っていた…

ナボコフとエリオット――「ゲーム」から「モラル」へ、「歴史」から「伝記」へ

論文が刊行されました。 「ナボコフとエリオット――「ゲーム」から「モラル」へ、「歴史」から「伝記」へ」『T.S. Eliot Review』27号、2016年、52-68頁。 去年の11月に、日本T.S.エリオット協会で発表させていただいたことをまとめたものです。 yakusunohawa…

Nabokov@New York City10 304 West 75 Street

新しくわかったNYCでの滞在先を記しておきます。 亡命ロシア人で、編集者・ビジネスマンのロマン・グリンベルグのアパートにたびたび滞在していたようです。名前からしてユダヤ系でしょうね。 ロマン・グリンベルグ(1893-1970)がナボコフと知り合った…

Nabokov@New York City9 American Museum of Natural History

3年ぶりぐらいのシリーズです。 1940年代、ケンブリッジ・ボストン近郊に住んで、蝶についての調査をMCZで始めていたころのナボコフが、たびたび訪問したのがニューヨークのAmerican Museum of Natural History(アメリカ自然史博物館)です。 77番街―81…

ナボコフの値段⑦:その他編

さて、いままで書簡・原稿・レア本など見てきましたが、そのほかにもオークションにはいろいろ変なものがでています。締めくくりに、そういったヘンテコな出品を見てみましょう。ちなみに、ここであげたのはすべて前回のクリスティーズ・オークションの出品…

ナボコフの値段⑥:レア本編④

つづきです。 前回紹介したタヤンのオークションは、ナボコフ関係の二回目にして最後の大規模 オークションとうたわれていました。 しかし、その6年後、2011年6月13日に、クリスティーズの "Fine Printed Books and Manuscripts"でナボコフ関係の大量出品が…

ナボコフの値段⑤:レア本編③

前回からだいぶあいてしまいました。 さらにつづきです。 1999年のホロヴィッツによるカタログによる販売のあと、もっとも大規模な販売が、タヤンがとりしきった、ジュネーヴのホテル・デス・ベルゲスでおこなわれたオークションです。 ここに出展されている…

『ナボコフの塊ーーエッセイ集1921-1975』作品社⑧:正誤表

『ナボコフの塊――エッセイ集1921―1975』のほうも、正誤表をあげておきます。 (まちがいが見つかり次第、順次更新します。) 401頁 誤「自らが新種を認定した蝶」→正「自らが新亜種として認定した蝶」 401頁 誤「なお、この蝶は、現在はNab(ナボコフ)では…

『ナボコフの塊ーーエッセイ集1921-1975』作品社⑦:刊行になりました。

編訳した『ナボコフの塊――エッセイ集1921―1975』が本日刊行になりました。 よろしくお願いいたします。 <本商品の特徴> ・日本語完全オリジナル編集 ・ロシア語・英語・フランス語のエッセイをすべて原語より翻訳 ・全39編(ロシア語19編、英語19編、仏語1…

『ナボコフの塊ーーエッセイ集1921-1975』作品社⑥:見本できました。

ウラジーミル・ナボコフ『ナボコフの塊――エッセイ集1921―1975』(作品社)も見本できました。 7月4日取次搬入、7月6日ごろから書店にならぶ予定です。 クリーム色の表紙に、タイトル部分黒、英題が銀色の箔押しになっております。 恒例差し込み付録「ナボコ…

Brian Boyd, Marijeta Bozovic ed., Nabokov Upside Down. Evanston: Northwestern Univ Press. 2017

寄稿した、来年刊行予定の本の書影がamazonに出ていました。 こちらはオークランド大学でおこなわれた国際学会をもとにした論集で、ジェネラル・エディターはブライアン・ボイドです。 オークランドの街はよくもわるくも文化的猥雑さがない感じでしたね…… オ…

ナボコフの値段④ レア本編②

前回はナボコフのinscribed copyの値段の話――グレアム・グリーンあての『ロリータ』の価格――をしました。 ナボコフのinscribed copyの価格を語る上で欠かせないのが、1999年にグレン・ホロヴィッツ・ブックセラーが頒布したカタログ『ヴェラの蝶』です。 199…

『ナボコフの塊ーーエッセイ集1921-1975』作品社⑤:目次解説

今週の火曜日に作品社に出張して念校を4、5時間見てなんとか水曜に戻せるようにしました。その結果?、発売日が7月6日?に決まりました。 当初、300頁ぐらいでおさめるように、と言われていたのですが、総ページ数448頁?と大幅に膨れあがってしまいました…

ナボコフの値段③ レア本編①

①書簡編、②原稿編もどうぞ。 著者が献辞を書いて、知人に送った自著――inscribed copy――のジャンルで、もっとも有名なナボコフ本ははっきりしています。 リック・ゲコスキー『トールキンのガウン―稀覯本ディーラーが明かす、稀な本、稀な人々』(高宮利行訳、…

ナボコフの値段② 原稿編

前回の内容(①書簡編)はこちら。 2回目は原稿の値段です。 原稿にかんしては多くが図書館などの機関に流れていて、一般に販売されるケースはまれです。 前回言及したグレン・ホロヴィッツ・ブックセラーは、戯曲『モルン氏の悲劇』の原稿を販売しているよう…

ナボコフの値段① 書簡編

今回は文字通りナボコフの「値段」の話です。 ナボコフの場合、原稿はまれですが、サイン本、手紙なんかは 現在でも市場にでることがあります。 そもそもナボコフは「高く売られる」作家でした。 サイモン・ガーフィールド『手紙 その消えゆく世界をたどる旅…

Nabokov and Laughlin: A Making of an American Writer

"Nabokov and Laughlin: A Making of an American Writer" という論文をNabokov Online Journalの10/11号(2016/2017)に掲載してもらいました。 *最新号はなにもしなくても全文読めるのかと思っていましたが、 やはり登録(無料)が必要なようです。 こち…

ナボコフの塊(仮)④:目次ほぼ決定

ナボコフのエッセイ集(仮題:『ナボコフの塊』)の作業がぼちぼちすすんでいまして、 目次がだいたい固まったので先んじて公開します。 各タイトル、章立て、収録順などすべて仮のものですが、コンポーネント自体は動かないものと思われます。 ロシア語19編…

ナボコフ・エッセイ集③:没エッセイ "Textures of Time"

エッセイ集を編む中で必然的に「これはちょっと無理かな……」というのがでてきます。 もちろん分量的な問題も大きいのですが(全部入れようとすれば、3巻本ぐらいにしないといけない、エッセイの範囲をどこまでにするか微妙だが、蝶についての論文だけでもゆ…

『賜物』続編騒動

遅報ですが、ナボコフの長編『賜物』の続編(第二部)が出版されました。 ナボコフ最大・最後のロシア語長編『賜物』に続編が存在することは以前から知られていましたが、ほぼ構想段階の断片であることから、いままで刊行されたことはありませんでした。 と…

ナボコフ・エッセイ集(仮) ②

前回のエントリの補足です。 ・エッセイ集を(仮)としたのは、収録する作品のほとんどが(少なくとも普通の意味で)「エッセイ」ではないからです。だから、ここだけの話、あんまりタイトルは「エッセイ集」にしたくないのです。 ・ここで言う「エッセイ」…

ナボコフ・エッセイ集(仮) ①

連日、泊まり込みで幕張のICCEESに来ております。 作品社の刊行予定がでたようなので、 こちらで訳者として少しコメント&予告しておきます。 ・予告ではタイトルは『ナボコフ・エッセイ集』となっていますが、これは(仮)のもので、現段階では未定です。 …