訳すのは「私」ブログ

書いたもの、訳したもの、いただいたものなど(ときどき記事)

ナボコフ

Nabokov@Ithaca3: 623 Highland Road, late August 1951-Summer 1952

1951年の新学期から、また新しいうちに移動します。 今度はキャンパスの北のHighland Roadで、このあたりは閑静な住宅街という感じでした。 環境が気に入ったのか、この辺りには以後も何度も住むことになりました。 この辺は静かですが、不便なところで、も…

Nabokov@Ithaca2: 802 East Seneca Street, Aug 1948-Summer 1951

ナボコフは前回のうちには1か月しか住みませんでした。 すぐに802 East Seneca Streetの家に引っ越ししています。 この家にはイサカの10軒のうちのなかではもっとも長く住み(約2年)、 アメリカで2番目に長く滞在した場所になりました(一番は8 Craigie Cir…

Nabokov@Ithaca1: 957 East State Street, July 1948-Aug 1948 (Sep 1953)

1948年の7月にケンブリッジから移ってきたナボコフがとりあえず借りたのが 957 East State Streetの家でした。 このイサカ時代、ナボコフは基本的に自分の家を持たず、 サバティカル(研究休暇)で留守になった家を借りていました。 本格的に家を持たなかっ…

Nabokov@Ithaca0: Introduction

以前、"Nabokov@Cambridge"で、ボストン・ケンブリッジ(ウェルズリー)時代、 作家ウラジーミル・ナボコフの住んでいた家・ゆかりの場所の「ツアー」をしました。 そこのIntroductionでも書いたのですが、 ナボコフのアメリカ時代には続きがあるわけです。 …

Nabokov@Cambridge-Wellesley-Boston: Index

Index Nabokov@Cambridge0: Introduction Nabokov@Cambridge1: Museum of Comparative Zoology Nabokov@Cambridge2: 8 Craigie Circle, 1942-1948 Nabokov@Cambridge3: 9 Maynard Place, Feb. -June 1952 Nabokov@Cambridge4: Widner Memorial Library Nabok…

Nabokov@Boston: Hotel The Vendome, June, 1950

以前、ナボコフは基本的にはボストンに住まなかった、ということを書きました。そのわずかな例外がこのホテル・ヴァンドームです。 コーネル大学時代、以前から歯が悪かったナボコフはすすめられて歯を全部抜き、総入れ歯にします。その際かかったのがボスト…

Nabokov@Wellesley4: 6 Cross Street, Summer 1946

さて、1945年の夏に滞在してあらためてウェルズリーが気に入ったのでしょうか、1946年の夏にナボコフはまたウェルズリー市内の先生の家を一ヶ月ほど間借りしました。それが6 Cross Streetの家でした。ここでナボコフは来学期の講義の準備をしたといいます。 …

Nabokov@Wellesley3: 9 Abbott Street, Summer 1945

1941年から1942年までウェルズリー市に一年間住んでいたナボコフですが、その後はどうだったのでしょうか。 一年はさんだ1943年からふたたびウェルズリー大学で、今度は日本で言うところの非常勤講師のような身分で、主に初級のロシア語を中心に教え始めます…

Nabokov@Wellesley2: 19 Appleby Road, Sep. 1941 to Aug. 1942

ウェルズリー大学に職を得たナボコフがはじめてアメリカで腰を落ち着けた場所、というべき場所が19 Appleby Roadでした。ここにナボコフ一家は1年ほど住むことになります。ウェルズリー大学のキャンパスから15分ほどあるいたところにありました。 On their r…

Nabokov@Wellesley1: Wellesley College

ケンブリッジ市は前回まででひとくぎり。今度は周辺のゆかりの地をめぐってみましょう。 1940年にアメリカにやって来たナボコフはいくつかの大学で講師として仕事をしていました。ウェルズリー大学もそのうちのひとつでした。とりあえず、1941年から42年にか…

Nabokov@Cambridge9: 6 Plympton Street, Grolier Bookshop

今回はやや番外編を。 ハーヴァード周辺の書店として巨大なCoop書店以外で目に付くのは、老舗のハーヴァード・ブック・ストアとグロリエ・ポエトリー・ブックショップでしょう。入り口です。6、7畳ほどの広さしかないですが、書架の上にはゆかりの作家の写…

Nabokov@Cambridge8: Sheraton Commander Hotel, Sanders Theatre, Apr. 1964

1964年4月、『エヴゲーニイ・オネーギン』訳注がようやく出版される運びになったため、アメリカを訪れていたナボコフはハーヴァードの朗読会に招かれました。 このときがナボコフにとって最後のreadingになったとともに、最後のケンブリッジ訪問になりました…

Nabokov@Cambridge7: 4 Kirkland Place, 1956

『オネーギン』の準備中に16 Chauncy Streetに滞在していたナボコフ夫妻は、ハーヴァードの比較文学科教授にして友人のハリー・レヴィンの家でさまざまな人々と旧交を温め合いました。レヴィンの妻エレーナはロシア系だったこともあり、ヴェラとはナボコフ没…

Nabokov@Cambridge6: 16 Chauncy Street, Feb. 1956

1956年2月、ナボコフは『エヴゲーニイ・オネーギン』訳注のための資料集めにまたまたケンブリッジを訪れます。その際宿泊したのが16 Chauncy Streetにあったホテルでした。これが最後の調査になります。 At the beginning of February the Nabokovs set off …

Nabokov@Cambridge5: 35 Brewster Street, 1737 Cambridge Street, Feb. - Apr. 1953

1953年の2月1日、ナボコフ夫妻は『エヴゲーニイ・オネーギン』の訳注の作業のため、ケンブリッジを再訪します。 最初、友人を介して紹介されたのが35 Brewster Streetにあった家でした。 On Feburary 1 the Nabokovs arrived at 35 Brewster Street, Cambrid…

Nabokov@Cambridge4: Widner Memorial Library

1953年から1956年頃まで、ナボコフはプーシキン『エヴゲーニイ・オネーギン』の英訳とその注釈の作業に本格的に取り組みはじめ、そのためになんどもケンブリッジを訪れています。 ナボコフが訳注『エヴゲーニイ・オネーギン』の資料集めのために、たびたび訪…

Nabokov@Cambridge3: 9 Maynard Place, Feb. -June 1952

コーネル大学に赴任したナボコフがケンブリッジに帰ってくるのは1952年2月、サバティカルをとった友人、ハーヴァード大学スラブ文学科教授、ミハイル・カルポヴィチの代わりとして教鞭をとるためでした。結局、6月20日まで滞在することになります。 スラブ科…

Nabokov@Cambridge2: 8 Craigie Circle, 1942-1948

続きです。ナボコフが初めて住んだケンブリッジの住所であり、以後、一時的に旅行や下宿で留守にすることはあっても、基本的にここを拠点にすることになりました。ブライアン・ボイドによると、アメリカでの住所としてはもっとも長く使われたとのことです。 …

Nabokov@Cambridge1: MCZ

まえがきを未読の方はこちらをご覧ください。 ナボコフは生物学の学位を持っていたわけではないですが、鱗翅類、とりわけシジミチョウ類については専門的な知識を持っていました。 ナボコフはハーヴァード大学比較動物学博物館(MCZ)に1941年10月から最初は…

Nabokov@Cambridge0: Introduction

ウラジーミル・ナボコフの生涯はおおまかに ・ロシア時代(1899-1919) ・イギリス・ドイツ・フランス時代(1919-1941) ・アメリカ時代(1941-1960) ・スイス時代(1960-1977) の四つにわけられることが知られています。 それぞれの時期がほぼ均等、だいたい20年…

[メモ]ナボコフの詩の自己翻訳

少し前にちょっとおもしろい記事を教えてもらったのでメモ。Open Culture, June 26th, 2012 Vladimir Nabokov Recites His Early Poem of Transition, ‘To My Youth’ナボコフの詩の朗読のテープがみつかった、という内容です。 この朗読はBBCのために1954年4…

ウラジーミル・ナボコフの翻訳理論と『オネーギン』訳の生んだ波紋

論文「ウラジーミル・ナボコフの翻訳理論と『オネーギン』訳の生んだ波紋」が、 『翻訳研究への招待』に掲載されました。 『翻訳研究への招待』はオンライン・ジャーナルなのでだれでも読むことができます。 1. 序 2.『オネーギン』翻訳への道 3.1. “litera…

日本文学のなかのナボコフ――誤解と誤訳の伝統

書いた論文が掲載されました。「日本文学のなかのナボコフ――誤解と誤訳の伝統」『文学』岩波書店、第13巻第4号、127-143頁、2012年7,8月号。文学 2012年 08月号 [雑誌]出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2012/07/28メディア: 雑誌 クリック: 21回この商品を…

2011年回顧など

だいたい各媒体「2011年の収穫」のような特集がでそろったようですので私が目にした範囲でまとめておきます。紹介者・書評者の方々に深くお礼を申しあげます(見落としなどご容赦ください)。 毎年恒例の月刊『みずず』の読書アンケート特集で、ダムロッシュ…

Nabokov Upside Down Conference 2012

国際ナボコフ学会がオークランドで2012年の1月10日から13日まで行われます。くわしくはこちら。ホストのブライアン・ボイドはもとより、キーノート・スピーカーにロバート・オールター(邦訳もある『読みの快楽』のなかのプニン論は必読)など、世界中のナボ…

日本ナボコフ協会、秋の研究会

日本ナボコフ協会のページに秋の研究会の案内がアップされていました。 ○秋の研究会のご案内11月19日(土)14:30〜17:30 どなたでもご参加いただけます。 みなさまのふるってのご来場をお待ちしております(入場無料・予約不要)。場所: 京都大学 文学研…

井波書評

井波律子氏による『ナボコフ全短篇』の書評が10月2日の毎日新聞に掲載されていました。「夢と断絶の迷路にいざなう万華鏡」というタイトルで、いくつかの短篇については、かなりたちいって筋を紹介されています。ありがとうございます。しかし、一節の「…

『カメラ・オブスクーラ』

カメラ・オブスクーラ (光文社古典新訳文庫 Aナ 1-1)作者: ナボコフ,貝澤哉出版社/メーカー: 光文社発売日: 2011/09/13メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 25回この商品を含むブログ (10件) を見る今月出た貝澤哉訳『カメラ・オブスクーラ』(光文社古典新訳…

風巻書評

だいぶ間が開いてしまいました。 風巻毅氏による『書きなおすナボコフ、読みなおすナボコフ』の書評が、三省堂書店公式ブログ『神保町の匠』にアップされていました。本の紹介だけでなく、拙論にも触れていただき、ありがとうございました。本の売り手側の意…

ナボコフ全短篇

ナボコフ全短篇作者: ウラジーミル・ナボコフ,秋草俊一郎,諫早勇一,貝澤哉,加藤光也,杉本一直,沼野充義,毛利公美,若島正出版社/メーカー: 作品社発売日: 2011/07/30メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 59回この商品を含むブログ (12件) を見る『ナボコフ全…

円城書評+「道化師の蝶」

作家の円城塔氏による『書きなおすナボコフ、読みなおすナボコフ』の書評が、7月8日の『週刊 読書人』に掲載されていました。『書きなおす〜』に対するもの、というよりは昨今の日本におけるナボコフ関連書籍ラッシュについてのもの、という感じですね。あ…

研究社論集

『読みなおすナボコフ、書きなおすナボコフ』ですが、拙稿は棚に上げるとして、ひとつの読みどころは海外からの寄稿者(ボイド、クチュリエ、デュランタイ、パイファー、ウッド、マリコヴァ)ではないかと。これだけ世界のナボコフ研究が日本語でまとまった…

『書きなおすナボコフ、読みなおすナボコフ』

書きなおすナボコフ、読みなおすナボコフ Revising Nabokov Revising作者: 若島正,沼野充義出版社/メーカー: 研究社発売日: 2011/05/27メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 22回この商品を含むブログ (7件) を見る若島正・沼野充義編『書きなおすナボコフ、…

『本郷の春』

文集『本郷の春−−ウラジーミル・ナボコフと亡命ロシア作家たちをめぐる連続講義の記録』をいただきました。昨年、京都で行われた国際ナボコフ学会にあわせて来日したロシア系ナボコフ学者たちの講演を集めたものです。 講演の案内自体はこちら。 http://www.…

『ローラのオリジナル』

ローラのオリジナル作者: ウラジーミル・ナボコフ,中田晶子,若島正出版社/メーカー: 作品社発売日: 2011/03/22メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (5件) を見るウラジーミル・ナボコフ『ローラのオリジナル』(若島正訳、作品社)をご恵贈…