日本語で読める自己翻訳研究を(『訳すのは「私」』でとりあげたもの以外で)いくつか紹介しておきます(自分のメモ替わりもかねて)。
英語・フランス語というメジャー言語ふたつで執筆したこともあり、やはりベケット関連の論文・文章が多いです。
たとえば、
大野麻奈子「サミュエル・ベケット「残り火」 : 英語版と仏語版の比較から」『研究年報』46号、1999。
ベケット『いざ最悪の方へ』の訳者あとがきについては『訳すのは「私」』でも触れましたが、同じ著者による戯曲についての論文でも、自己翻訳について語られています。
長島確「戯曲の翻訳―ベケット『わたしじゃない』日本語上演台本をめぐって―」『演劇研究センター紀要I 早稲田大学21世紀COEプログラム 〈演劇の総合的研究と演劇学の確立〉』2003。
「揺り椅子をゆらす声―ベケット『ロッカバイ』翻訳の問題」『演劇研究センター紀要II 早稲田大学21世紀COEプログラム 〈演劇の総合的研究と演劇学の確立〉』2004。
*1
庄子萌「サミュエル・ベケットの self-translation をめぐって」『Zephyr』21号、2009年。*2
なお、ベケットは大部の評伝が二作も翻訳されていますが、両方とも自己翻訳について記述があります*3(ナボコフの評伝も翻訳されていますが、後半である『アメリカ(英語)時代』の訳はまだでていませんし、残念ながら翻訳が進んでいるという話も聞きません)。
いざ最悪の方へ (Le livre de luciole (34))
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*1:それぞれ早稲田大学リポジトリ(DSpace@Waseda University)からDLして読むことができます。
http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/handle/2065/26770
http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/handle/2065/26791
*2:京都大学学術情報リポジトリからDLして読むことができます。
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/98042
*3:ジェイムズ・ノウルソン『ベケット伝』(上・下)白水社、2003年。ディアドリィ・ベァ『サミュエル・ベケット――ある伝記』書肆半日閑、2009年。