訳すのは「私」ブログ

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『本郷の春』

文集『本郷の春−−ウラジーミル・ナボコフと亡命ロシア作家たちをめぐる連続講義の記録』をいただきました。

昨年、京都で行われた国際ナボコフ学会にあわせて来日したロシア系ナボコフ学者たちの講演を集めたものです。
講演の案内自体はこちら。
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/genbun/100325hongonoharu.html

なかなか充実した論集になっていますが、ナボコフ研究という観点から見てとりわけ興味深いのは
アンドレイ・バビコフ「劇作家ナボコフ」(毛利久美訳)
マリヤ・マリコワ「ロシア詩人としてのヴラジーミル・ナボコフ=シーリン」(竹内恵子訳)
ですね。

どちらも日本ではなじみの薄い劇作家・詩人としてのナボコフ評価が取りあげられていて、啓蒙的な内容です。
とくにマリコワの40頁にもおよぶ論文は非常に本格的なもので、ロシアでのナボコフ研究の現在の水準の高さがうかがえて勉強になりました。うーむ。。。