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訳すのは「私」ブログ

書いたもの、訳したもの、いただいたものなど(ときどき記事)

デスエノス『低開発の記憶』

自己翻訳 いただきもの

エドムンド・デスエノス『低開発の記憶』(野谷文昭訳、白水社)をご恵贈いただきました。ありがとうございます。

低開発の記憶

低開発の記憶

訳者解説によると、エドムンド・デスエノス(1930〜)はハバナ生まれのスペイン語作家ですが、アメリカ留学をはじめ、キューバとアメリカをいったりきたりしたキャリアの持ち主のようです(現在はニューヨーク在住)。

また、この作品は1965年に出版されましたが、その後映画のヒットにより、いくつかの英訳版も存在することになったようです。

作者自身による英訳が、Inconsolable Memoriesとタイトルを変えて一九六七年にニューヨークのThe New American Libraryから、翌年にはロンドンのAndre Deutschから刊行された。一九七一年にはタイトルが本来の形に戻り、Memories of UnderdevelopmentとしてPenguin Booksに入っている。さらに二〇〇三年、Al Schallerの訳でMemories of Underdevelopment, Latin American Literary Review Press, Pittsburghが出た。194-195頁。

……かなり複雑ですが、1972年の小田実による翻訳『いやし難い記憶』は最初の1967年の作者自身による英訳に基づいていると。そしてこの英訳版は元のスペイン語版とはかなり異なったものであったようです。

ちょっとおもしろいのは自己翻訳という作者自身のオーソリティが付与された翻訳が先行しながら、別の訳者による翻訳が出版されていることではないでしょうか。そして後者の方が忠実であると。

また、日本語で原作/自己翻訳の両方からの訳が読めるという意味でも貴重かもしれないです。

ちょっと映画も見てみたいかも。

低開発の記憶-メモリアス- [DVD]

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