今回はやや番外編を。
ハーヴァード周辺の書店として巨大なCoop書店以外で目に付くのは、老舗のハーヴァード・ブック・ストアとグロリエ・ポエトリー・ブックショップでしょう。
入り口です。
6、7畳ほどの広さしかないですが、書架の上にはゆかりの作家の写真が。
1927年の創業時の看板も飾られています。
Wikipediaに項目がたてられ、書店の歴史を知ることができます。
それによると、かつてのオーナーGordon Cairnieのもとで、Grolier Bookshopはケンブリッジ周辺に住む文化人のための一種のサロン的な役割を果たしていたようです。
さて、コンラッド・エイキンやエズラ・パウンド、アナイス・ニンらとの手紙に混じってナボコフからの手紙も3通、ハーヴァードのホートン図書館に寄贈されています。どうやらナボコフとのあいだにも交流があったようです。
たとえば1951年12月の手紙では、「来セメスターにハーヴァードで講義をもつので自分の本を入荷しておくといいんじゃないかな(とくに『決定的証拠』)」(大意)とCairnieにアドバイス?を送っています。
ちなみに、このグロリエ・ブックショップ、現在は詩に特化したGrolier Poetry Bookshop として営業を継続中。
2代目オーナーとして書店の経営をたてなおそうとしたLouisa Solanoとこの書店については本も書かれています。
戦前、ハーヴァード大学講師だった経済学者・都留重人の『アメリカ遊学記』にもこの書店は登場します。
あまり数多くはない本屋にもそれぞれの色彩があり、従ってそれぞれの顧客があろう。フィリップスは中でも一番大きいが、コマシャリズムと凡庸性の典型であり、グロリエはその主人もたくまぬ乱雑さで積み上げられた文学書の中に終日坐ってパイプをふかしており、ホリオクは左翼書専門の書店だけに書店でもあり会合所ともなる、という風に。
都留重人や鶴見俊輔とナボコフが同じころ同じ街にいたと考えるのはおもしろいです。
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そういえばつい先日選詩集がでていました。