『ブルーノ・シュルツ 目から手へ』の著者、『ブルーノ・シュルツの世界』の編著者である加藤有子さんに拙著を評していただきました。加藤さん、ありがとうございます。
加藤有子「『ナボコフ 訳すのは「私《―自己翻訳がひらくテクスト』 」、『Krug』(New Series)、6号、38-43頁。
自作翻訳におけるオリジナルと翻訳のヒエラルキーを解体する一方で、ナボコフを例にした本書では自作翻訳と作家以外の翻訳の間のヒエラルキーは不可侵なものとして保存されている。〔中略〕作者とそれ以外の訳者に本質的な差はあるにしても、ナボコフの例は原著者以外の翻訳も「準創作」(225)もしくは「独立した『作品』」の性質を持ちうることを示しているとも捉えることができる。
40−41頁
もう一点、「やさしさ」というこの章の着地点となる言葉には少しの戸惑いを覚えた。〔中略〕だが、やさしさ/残酷さという二分法で登場人物の行為や作家の人間性を判断することには粗さを感じる。「やさしさ」で処理したものに、より踏み込んで議論する余地がありそうだ。
42頁
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