訳すのは「私」ブログ

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Nabokov@New York City2: 1326 Madison Avenue, June 10- 1940

32 East 61st Streetのアパートに住んでいたナボコフ一家ですが、6月10日から1326 Madison Avenueに安価なサブレットを発見して移りました。


このアパートの持ち主のLehovich夫人のおばのPanin伯爵夫人は、偶然にも1917年にクリミアでナボコフ一家に避難先を提供した人物だったようです。



現在の1326 Madison Avenue。


ところで、「ナボコフとニューヨーク」はナボコフとイサカ、ナボコフケンブリッジとくらべてもかなりピンと来ない組み合わせです。


ナボコフは『ニューヨーカー』の常連でしたが、作風は都会的とは言えないですしね。


このアパートに住んでいたころにうけたインタビュー、
ニューヨークで発行されていた"Новое русское слово"紙の1940年6月23日に
「V・V・シーリン=ナボコフはニューヨークで落ち着く」という記事が掲載されていますが、そこでニューヨークの印象を聞かれた作家は

私見ではここでは「性急さ」はないし、生活はパリよりもゆっくりしている。もちろん、パリに比べて人々は快適に暮らしている。街は驚くほどの静けさで、言うなれば音の種類が一種類なんだ。ヨーロッパでは音が何種類もあるし、それでもっと騒がしいんだ。


と語っています。少なくとも、街の第一印象は悪くなかったようです。