アーカイヴ紀行の10回目です。
今回紹介するのは、南部より一転、プリンストン大学です。
ニューヨークから電車で南にいったプリンストンに位置する大学です。
メトロポリスの喧騒を離れ、町は静かで、キャンパスはすばらしく英国風です。
こんなところで勉強出来たら最高ですね。
そのメインライブラリーであるファイアストーン図書館のアーカイヴには、
ナボコフ関係の資料も多少収蔵されています。
(行った当時は工事改修中でした)
ひとつは、ヘンリー・ホルト社の編集者をしていた、モダニズム詩人アレン・テイトとナボコフの書簡です。
1947年、ナボコフは英語第二作『ベンドシニスター』をヘンリー・ホルト社より出版しました。その際、社がテイトをつうじて提示したアドヴァンスは2000ドルという、当時のナボコフにとっては非常な高額でした。
このとき、ナボコフはウィルソンに「テイトに低頭!」と書き送っているほどです。
テイトとナボコフのやりとりは、テイトがホルトをじきにやめてしまったこともあって、実はそれほど量があるわけではないですが、ナボコフがテイトに非常に恩を感じていたことがわかります。
なお、ここの図書館はナボコフが翻訳の際に参照したアレクサンドル・プーシキン『エヴゲーニイ・オネーギン』を2010年に購入し、それを全ページ、スキャンしてデジタル・アーカイヴで公開しました。
チュッチェフの詩集もあります。
こちらはいながらにしてナボコフの書きこみを見ることができるわけです。
今後はこのようなデジタル化と情報公開が進めばいいですね。
なお、プリンストン大学の美術館は(アメリカの金持ちの私立大学によくあるように)非常に充実しているので、それだけでも訪問の価値があります。
資料の充実度 ★
使いやすさ ★★★★★
キャンパスの英国度 ★★★★