訳すのは「私」ブログ

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エミリー・アプター『翻訳地帯――新しい人文学の批評パラダイムにむけて』(慶應義塾大学出版会)

ついに 共訳書、エミリー・アプター『翻訳地帯――新しい人文学の批評パラダイムにむけて』(秋草俊一郎・今井亮一・坪野圭介・山辺弦訳、慶應義塾大学出版会)が刊行になりました。

 

翻訳研究と文学を融合する
 9.11「同時多発テロ」以降、ますます混迷する世界状況にたいし、人文学はどのようなことばで相対することが可能だろうか?
著者は、「戦争とは他の手段をもってする誤訳や食い違いの極端な継続にほかならない」という定義から出発し、単一言語(英語)主義がうむ世界の軋轢に警鐘を鳴らしつつ、「翻訳」の観点から新たな人文学のアプローチを模索する。
 本書で俎上に上げられるのは、第二次世界大戦中のシュピッツァー、アウエルバッハの思想にある人文主義的コスモポリタニズム、スピヴァク、サイードの惑星的批評、ウリポなどの実験的な言語芸術の政治性、クレオールバルカン半島の多言語状況の文学、さらには現代アートと擬似翻訳を例にした翻訳とテクノロジーの問題……など多岐にわたる。
 「翻訳可能なものはなにもない」「すべては翻訳可能である」――二つの矛盾するテーゼを掲げ、言語と言語の狭間にあるものを拾いあげること、「翻訳中」のままに思考しつづけることを提言する。

 

目次はこちら

出版社サイトはこちら。

 

www.keio-up.co.jp

 

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 なお、表紙はLaurie FirckというアーティストのMood+Quantifyという作品をつかわせていただいております。

 

www.lauriefrick.com

 

 

これで「世界文学」三部作(と勝手に呼んでいる)の翻訳がでそろいました。合わせて読んでみてください。

 

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