今週刊行されます 『「世界文学」はつくられる――1827-2020』(東京大学出版会)の詳細目次を公開します。
凡例
序章 「世界文学」とはなにか――ヴェルトリテラトゥーアの野望 1827-2019
1 ワイマールの邸宅で
2 ゲーテのまねびによって
3 「世界文学全集」というカノン
4 新しい「世界文学」研究
5 各章の内容
第Ⅰ部 本邦、「世界文学」事始め
第1章 パラダイムを輸入する――モウルトンの「世界文学」論とその影響 1890―1952
1 術語としての「世界文学」
2 「大文学」を求めて
3 宗教者モウルトン
4 教育者モウルトン
5 高等教育の民主化にむけて
6 土居光知――「世界文学」を読む場所
7 垣内松三の「世界文学アンソロジー」
8 モウルトンのその後の影響
第2章 「世界文学全集」の時代――『ハーヴァード・クラシックス』と円本全集 1909-1932
1 「世界文学全集」の誕生
2 スーパーエディター木村毅
3 はじめに『ハーヴァード・クラシックス』ありき?
4 エリオット博士とリベラル教育
5 『フランクリン自伝』と帝国主義
6 『ハーヴァード・クラシックス』と『世界文学全集』
7 円本版『世界文学全集』
8 英国発「エヴリマンズ・ライブラリー」というモデル
9 世界文学叢書の時代
10 「世界文学全集」の定番化へ
第3章 「世界文学全集」の光芒――大衆教養主義の興隆と没落減退 1945-2011
1 この「いい加減」なるもの
2 新潮社の『現代世界文学全集』と『新版世界文学全集』
3 フランス文学の黄金時代
4 「進歩的」な文学
5 河出書房のグリーン版『世界文学全集』
6 文学全集の米ソ対立?
7 大衆教養主義の隆盛
8 低年齢化する「世界文学全集」
9 「世界文学」の衰退、教養主義の没落
10 もてはやされる「新訳」
11 集英社「世界文学全集」とその終わり
第Ⅱ部 マルクスの亡霊たち
第1章 革命と世界のカタログ化 1918-1925
1 ゴーリキーと世界文学出版所の設立
2 ソ連版「世界文学全集」を立ちあげる
3 『世界文学出版所カタログ』
4 プロパガンダとしての「世界文学」
6 「民衆シリーズ」叢書
7 ゴーリキーの東洋観
8 『世界文学出版所カタログ――東洋編』
9 世界文学出版所のセルゲイ・エリセーエフ
11 物資・資金不足のなかで
12 世界文学出版所の終焉
第2章 六千万冊の夢――ソヴィエト版「世界文学全集」はいかに鍛えられたか 1967-1977
1 「世界文学」の夢、ふたたび
2 ソヴィエト版「世界文学全集」
3 『世界文学叢書カタログ』
4 社会主義リアリズムの桎梏のもとで
6 アクタガワとパナソニック
7 アファーマティヴ・アクションの帝国
8 翻訳の帝国
9 ソヴィエト文学の歴史化にむけて
10 詩の墓標
11 ソヴィエト版「世界文学のつくりかた」
12 「この世でもっとも美しい愛の物語」
13 「東西」の融和にむけて
第3章 世界文学に翻弄された男――東洋学者ニコライ・コンラド 1922-1970
1 世界文学出版所のニコライ・コンラド
2 フォルマリスト・コンラド
3 マルキシスト・コンラド
4 粛清の嵐のなかで
5 「世界文学」への道
6 東洋のルネサンス
7 未完のプロジェクト
8 批判と評価
9 コンラドの「世界文学」論を再評価する
10 普遍のほころび
第Ⅲ部 ワールド・リットの普及と変転
第1章 「世界文学」の発明――ウィスコンシン、マディソン 1950
1 一通の「月報」から
2 「中西部のある大学」
3 バックの『世界文学アンソロジー』
4 『世界文学教育――会議プロシーディングス』
5 佐伯彰一が見た「世界文学」
第2章 新しい「世界文学」のヒロイン 1954-2004
1 全米のスタンダード――ノートン版『世界傑作選』
2 男だけの「世界」
3 「世界」への窓
4 拡張される「世界」
5 新世紀の「世界文学アンソロジー」
6 「世界文学」はどれぐらい日本文学なのか?
7 日本文学の黄金時代?
8 「世界」の「イチヨー」
9 編者ロバート・ライオンズ・ダンリー
10 訳者ロバート・ライオンズ・ダンリー
11 東洋の独自性という神話
12 「加工」された一葉
13 精読と「意氣な女(スタイリッシュ・ウーマン)」
第3章 全集から部分集合へ、さらなるエディションへと 2004-2018
1 ハーヴァードのお膝元で
2 「世界文学アンソロジー」は悪しきグローバリズムの押しつけか?
3 ダムロッシュの批判と『ロングマン版世界文学アンソロジー』
4 「世界文学アンソロジー」のTCGモデル
5 ノートン社の刷新
8 「久志富佐子」とはだれか
9 普遍的なもの――教育システム
10 「アメリカン・スクール」の脱落
11 常にあたらしいテク(キ)スト
結びにかえて――「世界文学」 いまからはじまる 2020-
図版一覧
人名・作品索引