訳すのは「私」ブログ

書いたもの、訳したもの、いただいたものなど(ときどき記事)

アレクサンダル・ヘモン『私の人生の本』(松籟社)訂正

※アレクサンダル・ヘモン『私の人生の本』(松籟社)の訂正があれば、こちらに記します。

 

p157 「フィオレンティーナの紫のジャージを」→「フィオレンティーナの紫のユニフォームを」

 

 

「エヴゲーニー・チジョフ『下訳からの翻訳』とポストソヴィエト的翻訳ポリティクス」@世界文学・語圏横断ネットワーク Cross-Lingual Network

9月10日(金)に開催されます世界文学・語圏横断ネットワーク第14回研究集会

「エヴゲーニー・チジョフ『下訳からの翻訳』とポストソヴィエト的翻訳ポリティクス」という発表をおこないます。

 

なお、発表はパネル「世界文学再考――『生まれつき翻訳』のアクチュアリティ」の一部としておこなわれます。

 

【世界文学・語圏横断ネットワーク第14回研究集会】
2021年9月10日金曜日13:00開始(15:30までに終了予定)
Zoom使用オンライン開催
(どなたでも聴講いただけます。crosslingual@gmail.comまで聴講お申込みください。リンクを返送します。)
パネル
「世界文学再考――『生まれつき翻訳』のアクチュアリティ」
発表者
秋草俊一郎(日本大学):エヴゲーニー・チジョフ『下訳ありの翻訳』とポストソヴィエトの翻訳ポリティクス
坂口周(福岡女子大学):翻訳的日本近代と純粋言語の夢――村上春樹先行者たち
吉田恭子(立命館大学、兼司会):ポスト国民文学時代の現代詩
この秋にパネル企画者の吉田と佐藤が監訳者として取り組んできた、レベッカ・ウォルコウィッツの著書『生まれつき翻訳――世界文学の時代の現代文学』(松籟社)が出版される。デイヴィッド・ダムロッシュやエミリー・アプター、フランコモレッティの主要著作と並んで、世界文学研究の代表的な文献としてみなされている。
本書の問題提起の一つは、翻訳がナショナルな文学史の書き換えにおいて果たす生産的な役割にある。イシグロの新作の出版などで既に馴染みの光景となった「世界同時翻訳」=「生まれつき翻訳」とも言えるグローバルな出版状況の下で、私たち研究者は各国文学の枠組みに囚われたまま、既存の路線を進むだけで良いのだろうか。本パネルでは、アメリカ文学研究者の吉田、イギリス文学研究者の佐藤に加えて、日本の世界文学研究のパイオニアである比較文学研究者の秋草俊一郎氏、世界文学という視点から近現代日本文学の読み直しを行なっている日本文学研究者の坂口周氏を講師にお迎えし、『生まれつき翻訳』の議論を切り口として、さまざまな世界文学の可能性について各自のディシプリンおよび知的関心に引きつけてお話しいただき、領域横断的なダイアローグの場を作り出したい。
(以上)

 

会はオンラインでおこなわれ、事前登録制です(無料)。

(世界文学・語圏横断ネットワークFacebook

 

『私の人生の本』「訳者あとがき」が公開されました。

来週にも刊行されるアレクサンダル・ヘモン『私の人生の本』(松籟社)の「訳者あとがき」が「松籟社note」で公開されました。

 

 

note.com

私の人生の本〈東欧の想像力エクストラ1〉 | 松籟社 SHORAISHA

 

 

 

 

アレクサンダル・ヘモン「アクアリウム」(一か月限定公開)

9月刊行の訳書、アレクサンダル・ヘモンのエッセイ集『私の人生の本』より、「アクアリウム」が版元・松籟社さんのnoteで公開されました。一か月間の期間限定の公開のようです。

 

 

note.com

目次はこちら。

目次

私の人生の本
 他者の人生
 サウンド・アンド・ヴィジョン
 家族の食卓
 カウダース事件
 戦時の生活
 魔の山
 あり得ざることあるならばあれ
 犬の人生
 私の人生の本
 フラヌールの生活
 私がなぜシカゴから出ていこうとしないのか、その理由─網羅的ではない、ランダムなリスト
 神が存在するのなら、堅忍不抜のミッドフィールダーにちがいない
 グランドマスターの人生
 犬小屋生活
 アクアリウム

 訳者あとがき

 

オーランドー・ファイジズ『ナターシャの踊り 上・下』鳥山祐介・巽由樹子・中野幸男訳、白水社

巽由樹子先生にご恵投賜りました。

 

オーランドー・ファイジズ『ナターシャの踊り 上・下』鳥山祐介・巽由樹子・中野幸男訳、白水社

 

出版社のサイトの内容紹介より引用します。

 

戦争と平和』の貴族の令嬢ナターシャは、なぜ農民の踊りを踊れてしまうのか――「ロシア」を支えるその壮大な文化史をひもとく。[カラー口絵12頁]

「ロシアは頭ではわからない」――「ロシア」をめぐるイメージ=神話の典型のひとつだ。本書では、そうした「ロシア」という「神話」が生み出してきた豊饒たるロシア文化の歴史が、国家や社会を主体とするマクロな歴史を縦糸、個人の生に関わるミクロな歴史を横糸として織りなされる。文学、音楽、美術、演劇、バレエといった大文字の文化のみならず、宮廷の様子や農村の習慣、食や入浴文化、フォークロアまで、ロシア史のさまざまな局面における日常生活を垣間見られるのも本書の魅力だ。
本書が射程に入れるのは、一七〇三年のピョートル大帝による新都建設から、一九六二年のストラヴィンスキーの亡命先からの一時帰還という二百五十年を超える時間であり、さらに亡命ロシア人社会にもその筆は及んでいるため、膨大な時空間にわたる「ロシア文化」を読者は旅することになる。「ロシア文化」において「ロシア」という「神話」がいかに大きな問題として底流にあったのか、また逆に「ロシア」という「神話」を支えるのにいかに「文化」が重要な役割を担ったのかを、本書で描かれる人物たちを追体験しながら感得することになるだろう。

[目次]  
序章
第一章 ヨーロピアン・ロシア
1 帝都サンクトペテルブルクの誕生
2 シェレメーチェフ家の栄華
3 農奴劇場の歌姫プラスコーヴィヤ
4 ヨーロッパ的生活と演劇性
5 フランス崇拝とフランス語
6 ヨーロッパを旅するロシア人
7 「人間」から「ロシア人」へ

第二章 一八一二年の申し子たち
1 対ナポレオン戦争と国民統合の夢
2 デカブリストの蜂起と流刑
3 シベリアの「農民公爵」
4 文学、芸術における「ロシア性=民衆性」の発見
5 子ども時代、ばあやの思い出
6 ロシアの歴史をめぐって
7 セルゲイ・ヴォルコンスキーの晩年

第三章 モスクワへ! モスクワへ!
1 「大きな村」
2 ロシア文学のなかのペテルブルク神話
3 美食と歓待の町
4 《展覧会の絵》とモスクワ様式
5 歴史絵巻の舞台
6 商人に育まれたモスクワ文化
7 鉄道王マーモントフとアブラムツェヴォの芸術村
8 チェーホフのモスクワ
9 ソヴィエトの帝都として

第四章 農民の婚礼
1 「民衆のなかへ!」
2 スターソフと三人の芸術家
3 トルストイと農民
4 キティとリョーヴィンの結婚
5 農村をめぐる理想と現実
6 バレエ・リュスと「ロシア性」の輸出
7 ストラヴィンスキーの《結婚【レ・ノース】》

上巻図版一覧
読書案内
年表
用語集
原註

[著者略歴]
オーランドー・ファイジズ(Orlando Figes)
1959年ロンドン生まれ。ロシア史研究者。ロンドン大学バークベック・カレッジ教授。主要著作に『囁きと密告――スターリン時代の家族の歴史』『クリミア戦争』(以上、白水社刊)のほか、Peasant Russia, Civil War: The Volga Countryside in Revolution, 1917–21 (1989)、A People's Tragedy: The Russian Revolution 1891–1924 (1996)、Interpreting the Russian Revolution: The Language and Symbols of 1917 (1999、共著)、Just Send Me Word: A True Story of Love and Survival in the Gulag (2012)、Revolutionary Russia, 1891–1991: A History (2014)、The Europeans: Three Lives and the Making of a Cosmopolitan Culture (2019)がある。

[訳者略歴]
鳥山祐介(とりやま ゆうすけ)
1974年、東京都生まれ。東京外国語大学国語学部卒業、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。ロシア国立人文大学大学院修了(Ph.D.)。千葉大学文学部准教授を経て、現在、東京大学大学院総合文化研究科准教授。専門は18-19世紀ロシア文学、文化史。共著に『18世紀ロシア文学の諸相:ロシアと西欧 伝統と革新』(水声社、2016年)、«Карамзин – писатель» (Изд. «Пушкинский дом», 2018)、Publishing in Tsarist Russia: A History of Print Media from Enlightenment to Revolution (Bloomsbury, 2020)。NHKラジオ「まいにちロシア語」応用編講師(2016年度後期、2019年度前期)。

巽由樹子(たつみ ゆきこ)
1978年、神奈川県生まれ。東京大学文学部卒業、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、東京外国語大学大学院総合国際学研究院准教授。専門はロシア文化史。主著に『ツァーリと大衆:近代ロシアの読書の社会史』(東京大学出版会、2019年)、共編著にPublishing in Tsarist Russia: A History of Print Media from Enlightenment to Revolution (Bloomsbury, 2020)。共訳書に、ルイーズ・マクレイノルズ『遊ぶロシア:帝政末期の余暇と商業文化』(法政大学出版局、2014年)。

中野幸男(なかの ゆきお)
1977年、福岡県生まれ。東京外国語大学国語学部卒業。モスクワ大学大学院修了(Ph.D.)。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、同志社大学グローバル地域文化学部助教。専門は亡命ロシア文学。主な論文に “On the History of the Novel We, 1937–1952: Zamiatin's We and the Chekhov Publishing House” Canadian-American Slavic Studies 45 (2011)、「サミズダートとインターネット:ナターリヤ・ゴルバネフスカヤのLiveJournal」『Slavistika』XXXV、2020年。共訳書にアンドレイ・シニャフスキー『ソヴィエト文明の基礎』(みすず書房、2013年)。

 

原書が刊行された当時には相当に話題になった著書であり、

待望の翻訳ですね。ロシア文化史を理解するためには欠かせない本でしょう。

 

巽先生、どうもありがとうございました。

 

 

 

[書評]坪井秀人・瀧井一博・白石恵理・小田龍哉編『越境する歴史学と世界文学』臨川書店

以下の本の書評を書きました。

 

「坪井秀人・瀧井一博・白石恵理・小田龍哉編『越境する歴史学と世界文学』(臨川書店、二〇二〇年)」『比較文学』第63巻、2021年、157ー159頁。

 

 

 

読売新聞文化部「本よみうり堂」編『キリンが小説を読んだら――サバンナからはじめる現代文学60』(書肆侃侃房)

刊行中の読売新聞文化部「本よみうり堂」編『キリンが小説を読んだら――サバンナからはじめる現代文学60』(書肆侃侃房)に寄稿しています。

 

私が担当したのは長嶋有ジャージの二人』、町田康夫婦茶碗』、筒井康隆朝のガスパール』、宮本輝『骸骨ビルの庭』、古川日出男『女たち三百人の裏切りの書』の5編です。

 

www.kankanbou.com

 

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