訳すのは「私」ブログ

書いたもの、訳したもの、いただいたものなど(ときどき記事)

2011-01-01から1年間の記事一覧

Nabokov Upside Down Conference 2012

国際ナボコフ学会がオークランドで2012年の1月10日から13日まで行われます。くわしくはこちら。ホストのブライアン・ボイドはもとより、キーノート・スピーカーにロバート・オールター(邦訳もある『読みの快楽』のなかのプニン論は必読)など、世界中のナボ…

編集文献学と自己翻訳

人文学と電子編集―デジタル・アーカイヴの理論と実践作者: ルー・バーナード,キャサリン・オブライエン・オキーフ,ジョン・アンスワース,明星聖子,神崎正英出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会発売日: 2011/08/30メディア: 単行本 クリック: 44回この商品を…

国際シンポジウム 世界文学とは何か? Brave World Literature Reviseted: Contemporary Approaches to Literary Studies

Short noticeですが。 国際シンポジウム世界文学とは何か? Brave World Literature Reviseted: Contemporary Approaches to Literary Studies 特別ゲスト:デイヴィッド・ダムロッシュ、池澤夏樹 +柴田元幸、沼野充義、野谷文昭 日時:2011年11月12日(土…

日本ナボコフ協会、秋の研究会

日本ナボコフ協会のページに秋の研究会の案内がアップされていました。 ○秋の研究会のご案内11月19日(土)14:30〜17:30 どなたでもご参加いただけます。 みなさまのふるってのご来場をお待ちしております(入場無料・予約不要)。場所: 京都大学 文学研…

井波書評

井波律子氏による『ナボコフ全短篇』の書評が10月2日の毎日新聞に掲載されていました。「夢と断絶の迷路にいざなう万華鏡」というタイトルで、いくつかの短篇については、かなりたちいって筋を紹介されています。ありがとうございます。しかし、一節の「…

『カメラ・オブスクーラ』

カメラ・オブスクーラ (光文社古典新訳文庫 Aナ 1-1)作者: ナボコフ,貝澤哉出版社/メーカー: 光文社発売日: 2011/09/13メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 25回この商品を含むブログ (10件) を見る今月出た貝澤哉訳『カメラ・オブスクーラ』(光文社古典新訳…

武田書評

『図書新聞』の9月24日号に、イギリス文学者の武田将明氏によるダムロッシュ『世界文学とは何か?』の書評が掲載されていました。手際よく内容を紹介しながら、かなり専門的にも踏みこんだものなっています。ありがとうございました。個人的にはこの書評を読…

リシャール・コラスの場合: 「自ら日本語で執筆」???

自己翻訳かどうかわかりませんが、ヘンテコなものを見つけたのでメモ。シャネルの日本法人社長リシャール・コラス(1953〜)が最近出版した小説『紗綾―SAYA』の説明にこう書いてありました。 フランスで、文学賞「みんなのための文化図書館賞」を受賞した『S…

カレン・ブリクセンの場合

カレン・ブリクセン(1885-1962)もベケットやナボコフと並んで有名なバイリンガル・自己翻訳作家です。 彼女の場合、創作は基本的に英語ではじめに書き、その後デンマーク語に自分で翻訳するという方向でおこなわれました*1。外国語→母語の流れですね。 で…

アンドレイ・マキーヌの場合:アリバイとしての自己翻訳

アンドレイ・マキーヌ(1957〜)はロシア生まれのフランス語作家で、はじめ亡命作家イヴァン・ブーニンの研究などをしていましたが、1987年に渡仏して後フランス語での創作を始めます。 1995年の『フランスの遺言書』でメディシス賞・ゴンクール賞を同時受賞…

風巻書評

だいぶ間が開いてしまいました。 風巻毅氏による『書きなおすナボコフ、読みなおすナボコフ』の書評が、三省堂書店公式ブログ『神保町の匠』にアップされていました。本の紹介だけでなく、拙論にも触れていただき、ありがとうございました。本の売り手側の意…

北代書評

日本通訳翻訳学会の電子ジャーナル『翻訳研究への招待』6号に『ナボコフ 訳すのは「私」』の書評が掲載されていました。評者は翻訳家として長いキャリアのある北代美和子氏。拙著に対する学術系の書評は初めてですね。しかも文学系ではなく翻訳研究系の方か…

メモ:ボルヘスの自己翻訳2

前のエントリの続き。1968年から71年までブエノスアイレスでボルヘスと共同作業した英訳者ノーマン・トマス・ディ=ジョバンニの回想・インタヴューを読む機会がありました。Cardinal Points of Borges作者: Lowell Dunham,Ivar Ivask出版社/メーカー: Unive…

ナボコフ全短篇

ナボコフ全短篇作者: ウラジーミル・ナボコフ,秋草俊一郎,諫早勇一,貝澤哉,加藤光也,杉本一直,沼野充義,毛利公美,若島正出版社/メーカー: 作品社発売日: 2011/07/30メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 59回この商品を含むブログ (12件) を見る『ナボコフ全…

後藤書評+『図書新聞』

7月30日号の『図書新聞』に、後藤篤氏による『ナボコフ 訳すのは「私」』の書評が掲載されています。評者の後藤氏は若手ナボコフ研究者ですが、それらしい、内容に踏み込んだ、学術的な観点からの批判も組み入れた評をいただいたことをお礼申し上げます。限…

円城書評+「道化師の蝶」

作家の円城塔氏による『書きなおすナボコフ、読みなおすナボコフ』の書評が、7月8日の『週刊 読書人』に掲載されていました。『書きなおす〜』に対するもの、というよりは昨今の日本におけるナボコフ関連書籍ラッシュについてのもの、という感じですね。あ…

メモ:ツヴェターエワの自己翻訳

ナボコフ以外にもロシア革命直後の亡命者たち、いわゆる「第一の波」の世代の中には外国語での創作や、自己翻訳を試みた作家が何人かいました。マンデリシュターム、パステルナーク、アフマートワと並んで、二〇世紀ロシア語詩の到達点とされるマリーナ・ツ…

『世界文学とは何か?』にかんするエントリ

前々回紹介した松本氏や柳原氏以外に、ブログで『世界文学とは何か?』をとりあげてくださった方を以下にあげておきます(基本的に実名で書いてくださっている方のみ)。伊藤聡氏の「空中キャンプ」石堂藍氏の「荻の塵拾い」白石知雄氏のエントリ「世界文学…

竹内書評

竹内恵子氏による『ナボコフ 訳すのは「私」』への書評が『週刊読書人』7月1日号に掲載されていました。分量に見合った内容の濃い紹介で、多方面から本について触れてくださっていますが、ナボコフの研究におけるいくつかの<ギャップ>というか落差(「モダ…

松永書評

松永美穂氏が6月26日の朝日新聞に『世界文学とは何か?』の書評を書いてくださいました。これも大きなスペースをとっての紹介ですね。ありがとうございます。ドイツ文学者の評者らしく、カフカやゲーテなど、『世界文学とは何か?』のドイツ文学方面について…

今福書評

今福龍太氏による書評が6月13日の読売新聞にでていました。ありがとうございます。朝日新聞と同じ『ローラのオリジナル』とあわせての書評で、六章「訳注『エヴゲーニイ・オネーギン』――樹影譚としての翻訳論」に注目したという点も少し似ていますね。ただ、…

メモ:ボルヘスの自己翻訳

ジョージ・スタイナーが「脱領域の知性」としてあげた作家のうち、ボルヘスの自己翻訳についてはいまいちはっきりしたことがつかめず、『訳すのは「私」』では触れませんでした。ボルヘスのスペイン語→英語の翻訳にかんしては、英訳者ノーマン・トマス・ディ…

魯迅のバイリンガリズム

魯迅のバイリンガリズムについてひとつ論文に当たったのでメモ。陳仲奇「魯迅作品における日本語的表現要素について」『総合政策論叢』10号、2005年。魯迅作品の中に日本語表現が輸入されている例が具体的に示してあって(私はまったく魯迅研究・中国語につ…

田原の場合

バイリンガル詩人の田原(ティエン・ユアン、1965〜)氏の講演会に行ってきました。以下メモ。・北京語→日本語、日本語→北京語のどちらの自己翻訳もする。 ・北京語→日本語の詩とはじめから日本語で書かれた詩を比べると、後者の方が「日本語に近い」感覚が…

デスエノス『低開発の記憶』

エドムンド・デスエノス『低開発の記憶』(野谷文昭訳、白水社)をご恵贈いただきました。ありがとうございます。低開発の記憶作者: エドムンドデスノエス,野谷文昭出版社/メーカー: 白水社発売日: 2011/05/24メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含む…

研究社論集

『読みなおすナボコフ、書きなおすナボコフ』ですが、拙稿は棚に上げるとして、ひとつの読みどころは海外からの寄稿者(ボイド、クチュリエ、デュランタイ、パイファー、ウッド、マリコヴァ)ではないかと。これだけ世界のナボコフ研究が日本語でまとまった…

鴻巣書評

デイヴィッド・ダムロッシュ『世界文学とは何か?』を、5月22日の毎日新聞「今週の本棚」で、鴻巣友季子氏が大きくとりあげてくださいました。一般紙では一番大きい2000字の大書評を使って「翻訳書を読むすべての人たちにお薦めしたい一冊」との紹介は望外と…

『書きなおすナボコフ、読みなおすナボコフ』

書きなおすナボコフ、読みなおすナボコフ Revising Nabokov Revising作者: 若島正,沼野充義出版社/メーカー: 研究社発売日: 2011/05/27メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 22回この商品を含むブログ (7件) を見る若島正・沼野充義編『書きなおすナボコフ、…

山形書評

もう結構前になってしまうのですが、山形浩生氏による書評が出ていました(ナボコフ『ローラのオリジナル』と合わせてのもの)。 山形氏とはまったく面識がない&「文学関係者」でもないにもかかわらず、評を書いていただけたということは(書評は本来そうあ…

翻訳どきの私達伝説

世界文学とは何か?作者: デイヴィッド・ダムロッシュ,秋草俊一郎,奥彩子,桐山大介,小松真帆,平塚隼介,山辺弦出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2011/04/27メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 48回この商品を含むブログ (23件) を見る ダムロッシュ『世…