訳すのは「私」ブログ

書いたもの、訳したもの、いただいたものなど(ときどき記事)

2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『本郷の春』

文集『本郷の春−−ウラジーミル・ナボコフと亡命ロシア作家たちをめぐる連続講義の記録』をいただきました。昨年、京都で行われた国際ナボコフ学会にあわせて来日したロシア系ナボコフ学者たちの講演を集めたものです。 講演の案内自体はこちら。 http://www.…

『ローラのオリジナル』

ローラのオリジナル作者: ウラジーミル・ナボコフ,中田晶子,若島正出版社/メーカー: 作品社発売日: 2011/03/22メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (5件) を見るウラジーミル・ナボコフ『ローラのオリジナル』(若島正訳、作品社)をご恵贈…

移民作家の自己翻訳

Moment of Silence作者: Toma Longinovic出版社/メーカー: Burning Books発売日: 1990/03/01メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (1件) を見る今、移民作家が自作を受け入れ先の国の言葉で出版することは(特にアメリカなどでは)珍しくなくなって…

ナンシー・ヒューストンの場合

このブログ、ネタはかなりあるんですよね。書けるかどうかはともかく。今日はナンシー・ヒューストンの場合。ナンシー・ヒューストンはカナダの英仏バイリンガル作家。あのツヴェタン・トドロフの奥さんでもあるようです。英語が母語ですが、仏語で創作をは…

ジョイスが訳すジョイス

花粉がひどいですね。いつも鼻炎気味なのでよけい……。『訳すのは「私」』ではとりあげなかったのですが、自己翻訳をした作家の中でももっとも大物のひとりがジェイムズ・ジョイスです。彼は自分の実験作『フィネガンズ・ウェイク』の一部、「アナ・リヴィア…

エクソフォニーとオムニフォン

このブログではネタを備忘録的に放り出しておくだけで、特に掘り下げることはしないんですよ(言い訳)。今日読んだ管啓次觔の『本は読めないものだから心配するな』(左右社、91頁)によれば、 「エクソフォニー」とは外の言語で書くという実践、「オムニフ…

『訳すのは「私」』関連論文

土曜日はあやうく新宿の路上の露と散るところでした。。。 『ナボコフ 訳すのは「私」−−自己翻訳がひらくテクスト』が出たのはいいのですが、内容説明だけではいまいちわからない、ということがあると思います。 そこで試し読みではないですが、著者の関連論…

『ナボコフ 訳すのは「私」――自己翻訳がひらくテクスト』(詳細目次)

ナボコフ 訳すのは「私」―自己翻訳がひらくテクスト作者: 秋草俊一郎出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2011/02/28メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 53回この商品を含むブログ (9件) を見る詳細な目次(章だけでなく節もふくめた)は以下のように…

多和田葉子の場合(1)

もう三月になってしまいました。二月は短い……。前々回のエントリでは共訳者について触れましたが、 作者=訳者が自己翻訳研究の一番のソースであることはまちがいありません。 自己翻訳研究はどうしても作者=訳者という存在に束縛される面があります (この…