訳すのは「私」ブログ

書いたもの、訳したもの、いただいたものなど(ときどき記事)

2024-10-01から1ヶ月間の記事一覧

【書評】佐藤=ロスベアグ・ナナ『学問としての翻訳』みすず書房

『図書新聞』3454号、2020年7月4日。 佐藤=ロスベアグ・ナナ『学問としての翻訳』みすず書房 現在、ロンドン大学で翻訳研究【トランスレーション・スタディーズ】を講じる著者が、たまたま手にとったという雑誌――『季刊翻訳』(1973―75)――と、『翻訳の世界…

【書評】モーシン・ハミッド『西への出口』(藤井光訳、新潮社)

『日経新聞』2020年2月15日号 モーシン・ハミッド『西への出口』(藤井光訳、新潮社) 殆どの読者にとって移民とは、新聞やテレビニュースの中の出来事だろう。同情はすれど、自分がそうなるとは想像だにしない。 パキスタン出身の英語作家モーシン・ハミッ…

【書評】ノラ・イクステナ『ソビエト・ミルク――ラトヴィア母娘の記憶』(黒沢歩訳、新評論)

『日経新聞』2019年12月7日 ノラ・イクステナ『ソビエト・ミルク――ラトヴィア母娘の記憶』(黒沢歩訳、新評論) 本作は、バルト三国の一国、ラトビアで刊行されてベストセラーになった。ラトビアは長年にわたって大国に翻弄されてきた。第一次大戦中に悲願の…

【書評】鴻巣友希子『謎とき『風と共に去りぬ』―― 矛盾と葛藤にみちた世界文学』新潮社

『静岡新聞』 二〇一九年五月二六日ほか 鴻巣友希子『謎とき『風と共に去りぬ』―― 矛盾と葛藤にみちた世界文学』新潮選書 テキサスのある文学博物館で、『風と共に去りぬ』の展示を見たとき、ツアーの参加者がみな『風と共に去りぬ』の熱烈な愛読者で、三回…

【書評】ベン・ブラット『数字が明かす小説の秘密 スティーヴン・キング、J・K・ローリングからナボコフまで』坪野圭介訳、DU BOOKS

『北日本新聞』二〇一八年八月一二日ほか ベン・ブラット『数字が明かす小説の秘密 スティーヴン・キング、J・K・ローリングからナボコフまで』坪野圭介訳、DU BOOKS AIによる小説の執筆の可能性も議論される昨今、小説を読む上でもコンピュータを用いた試み…

【書評】橋本陽介『ノーベル文学賞を読む ガルシア=マルケスからカズオ・イシグロまで』角川書店

『琉球新聞』二〇一八年一〇月一四日ほか 橋本陽介『ノーベル文学賞を読む ガルシア=マルケスからカズオ・イシグロまで』角川書店 本書の「はじめに」で著者はノーベル文学賞作家の作品が「読まれていない」と言う。日本でも外国文学研究者が紹介や翻訳に尽…

【書評】ジョン・ネイスン『ニッポン放浪記――ジョン・ネイスン回想録』前沢浩子訳、岩波書店

『河北新報』2018年1月21日号ほか 翻訳こそ世界文学の絆 本回想記の著者は、日本では三島由紀夫の評伝の作者として知られている。六〇年代、ノーベル文学賞の野心を抱いた三島の知遇を得たネイスンは、『午後の曳航』を英訳する。しかし、次に訳したのは大江…

【書評】村上春樹『一人称単数』文藝春秋

『読売新聞』二〇二〇年八月一日夕刊 村上春樹『一人称単数』文藝春秋 不思議なタイトルの短編集だ。実際、本書に収録された短編はどれも――「ぼく」や「私」のちがいはあるが――「一人称単数」で書かれている。そして語り手自身も、生まれ育ちから趣味、職業…

【書評】ザミャーチン『われら』小笠原豊樹訳、集英社文庫

媒体に掲載されて十分時間が経過したと思われる書評は(単行本に未収録のもの、レポジトリに未収録のもの)、こちらで公開してみることにしました。 集英社のPR誌の『青春と読書』2月号(65頁)に寄稿したザミャーチン『われら』(小笠原豊樹訳、集英社文庫)…

『日中戦時下の中国語雑誌『女声』――フェミニスト田村俊子を中心に』春風社

山崎眞紀子先生より、ご共著書をご恵送いただきました。 『日中戦時下の中国語雑誌『女声』――フェミニスト田村俊子を中心に』春風社 出版社による紹介を下記引用します。 日中戦争期上海で刊行されていた中国語の女性雑誌『女声』について、日本人編集長田村…