訳すのは「私」ブログ

書いたもの、訳したもの、いただいたものなど(ときどき記事)

「科学の興奮と詩の精密さ――ウラジーミル・ナボコフの文学」『知のフィールドガイド 分断された時代を生きる』白水社

「科学の興奮と詩の精密さ――ウラジーミル・ナボコフの文学」という文章を、東京大学教養学部編『知のフィールドガイド 分断された時代を生きる』(白水社)に寄稿させていただきました。

 

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目次はこちら。

知のフィールドガイド 分断された時代を生きる - 白水社

 

 

 20名以上の豪華執筆陣が寄稿しております。

 

私の寄稿は

yakusunohawatashi.hatenablog.com

に、

 

yakusunohawatashi.hatenablog.com

の内容をくわえたものになっております。

 

もともとは私もかつて所属していた

東京大学教養学部教養教育高度化機構でおこなっていた

「高校生のための金曜特別講座」での講義をもとに

編集したものとなっております。

 

いままでの論文と重複するところも多いですが(『訳すのは「私」』六章、「日本文学のなかのナボコフ」と重複する部分あり)、

興味がある方はぜひお手にとってごらんください。

文学の値打ち――古書店のカタログ、オークション、死後出版――ナボコフの場合

8月4日に勤務先で特別講演を開催することになりました(詳細ポスター)。

予約不要・無料ですので、関心のある方はおさそいあわせのうえおいでください。

 

講演内容

「文学の価値」とはなにによって決まるのでしょうか?――今回は作家ウラジーミル・ナボコフを例にとってこの疑問を考えてみたいと思います。ナボコフの小説『ロリータ』は、全世界で五千万部以上を売りあげたことで知られています。それだけでなく、現在では二十世紀を代表する作家という評価をえています。本講演では、こうした評価を、作家とその遺族が、いかに獲得し、「死後出版」によって不動のものにしていったのか、それと同期してその「商品価値」がどう変わったのかを、オークション古書店のカタログなどで具体的に見ていきます。

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『読者ネットワークの拡大と文学環境の変化 ─19世紀以降にみる英米出版事情』音羽書房鶴見書店

 後藤篤さんから共著書『読者ネットワークの拡大と文学環境の変化 ─19世紀以降にみる英米出版事情』(音羽書房鶴見書店)をいただきました。

 

後藤さんは「書物の流離譚――『ロリータ』の大西洋横断的ネットワーク」という章をお書きになっています。

 

全11章+コラムで英米の出版事情についてさまざまな角度から光をあてた本になっています。

 

おもしろいのは各論文に「コメント」として 別の執筆者からのコメントがついていることで、類書にないこころみで、疑似シンポジウムのようです。

 

こういったコメントの往来をつうじて、文学コミュニティが形成されていくのだなあ、と思った次第です。

 

 

 

後藤さんには『アメリカン・ロードの物語学』につづいて

本をつぎつぎといただいてしまい、恐縮しております(自分でも買います)。

 

yakusunohawatashi.hatenablog.com

 

後藤さん、どうもありがとうございました。

ナボコフ没後40周年特別企画アンケート

7月2日はナボコフの命日です。1977年7月2日にナボコフは亡くなりました。

 

マキシム・シュライヤー先生から依頼をいただき、

ナボコフ没後40周年特別企画アンケートに回答しました。

www.colta.ru

ロシア語ですが。

 

回答者は

ユーリイ・レヴィング、アンドレイ・バビコフ、アレクサンドル・ドリーニン、ブライアン・ボイド、ディーター・ツィンマー、バーバラ・ワイリー、デイヴィッド・ランプトンなどそうそうたる顔ぶれ(私以外)。

先日の論集もそうですが、

いろいろと企画があるようで、日本も盛り上げていきたいですね。

スイス文学会編『スイス文学・芸術論集―-小さな国の多様な世界』鳥影社

川島隆さんからまたまたご共著をいただいてしまいました。

どうもありがとうございます。

 

出版元のサイト

https://www.choeisha.com/pub/books/56124.html

 

 

 

  • スイスをスイスたらしめているものは何なのか。文学、芸術、言語、歴史などの総合的な視座から、小さな国の大きく豊かな存在の秘密を明らかにする。

目次

  • 大串紀代子 『私たちスイスの立場』 —カール・シュピッテラーの演説
  • 曽田長人 J・R・V・ザーリスのスイス観 —冷戦期の中立理解を手がかりに
  • 中川裕之 多言語グラウビュンデンのレト・ロマン語方言の書きことば成立の歴史 識字教育につながる聖書翻訳とその文学的開花例としての抒情詩
  • 川島隆 シャルル・トリッテンの『ハイジ』後編 —スイスの国民的アイデンティティとの関連で
  • 鍵谷優介 ヘルマン・ヘッセとスイス —「郷土愛」と「ナショナリズムからの離脱」
  • 若林恵 ポリフォニーの響き —ローベルト・ヴァルザーの散文における音楽性
  • 新本史斉 「チビノヤコプリ ジジノヤコプニ ヨロシク ヘディ」あるいはフリードリヒ・グラウザーの探偵小説『体温曲線表』における言語の複数性と言語の彼岸
  • 関口裕昭 マックス・フリッシュ『アンドラ』におけるユダヤ人像 —バッハマン、ツェランとの伝記的関係からの考察
  • 松鵜功記 罪なき者の罪 —ルーカス・ベアフース『100日間』におけるヨーロッパ理念の解体と当事者性について
  • 橋本由紀子 二種類の小人が意味するもの—クリストフ・バドゥー他『連邦警官ショッホ—赤いとんがり帽子作戦」における小人のモチーフ
  • 須永恆雄 アドルフ・ヴェルフリ —無限増殖混淆曼荼羅—字と絵のカオス・コスモス

 

 

川島隆さんは「シャルル・トリッテンの『ハイジ』後編 —スイスの国民的アイデンティティとの関連で」を書かれていますね。

 

関係ないですが、私がスイス文学で一番好きな作家はローベルト・ヴァルザーで、

それもゼーバルトの『鄙の宿』を読んで、読んでみたからなんですよね。

 

 『タンナーきょうだい』とか好きです(最近訳もでたようですが未見)。

 

あまりにドイツ的なものより、オーストリアとかスイスとかの文学が気になりますね。

Nabokov and Hearn: Where the Transatlantic Imagination Meets the Transpacific Imagination

論文を寄稿した本が刊行されました。

 

"Nabokov and Hearn: Where the Transatlantic Imagination Meets the Transpacific Imagination," Nabokov Upside Down. Evanston: Northwestern University Press. 2017. pp. 158-168.

 

いや、3月にでたのは知っていたのですが、版元からなぜか執筆者見本が送られてこず、再三問い合わせて送ってもらえた次第。

 

この本についてはこちらもどうぞ。

 

yakusunohawatashi.hatenablog.com

2012年1月にブライアン・ボイドのおひざ元、オークランド大学でおこなわれた国際ナボコフ学会での発表をもとにしています(懐かしい)。

 

目次は以下の通りです。

 

Introduction / Brian Boyd --

 

Part 1. Upside down : matter to mind.

 

Reflections on (and of) trees in Nabokov / Stephen H. Blackwell --

 

Backward, contrariwise, downside up : thinking in different directions in Nabokov / Susan Elizabeth Sweeney --

 

Belly and brain, mind and matter : an upside-down look at Nabokov's humor / Paul Benedict Grant --

 

Some foodnotes to Nabokov's works / Lara Delage-Toriel --

 

"I speak like a child" : orality in Nabokov / Monica Manolescu --

 

Doubled vision : autoscopic phenomena in Nabokov's fiction / Naomi Olson --

 

Restoration or regression? : the lure of the past in Nabokov's fiction / Julian W. Connolly --

 

Masters and servants : upstairs and downstairs in Nabokov / Galya Diment --

 

On pity and courtesy in Nabokov's ethics / Dana Dragunoiu --

 

 

Part 2. Right way round : past to future.

 

Nabokov and Hearn : where the transatlantic imagination meets the transpacific imagination / Shun'ichiro Akikusa --

 

"And if my private universe scans right . . ." : the semantics of meter in Nabokov's poetry--and worldview / Stanislav Shvabrin --

 

In search of the real poet : Nabokov's Pushkin essay revisited / David Rampton --

 

Nabokov for those who hate him : the curious case of Pnin / Robert Alter --

 

"My poet's fiery orb" : "Pale fire" and its creative context / R.S. Gwynn --

 

From Onegin to Ada : Nabokov and the transnational imperative / Marijeta Bozovic --

 

Turning the myth upside down : from Humbert and Lo to Hubert and Flo, or, Reading the particulars / Yannicke Chupin --

 

Afterword / Brian Boyd.

 

ボイド、コノリー、スィーニー、ディメント、ランプトンといったナボコフ研究の重鎮クラスから、

ブラックウェル、ドラグノー、シュバーヴリン、ボゾヴィッチといったその下の世代の中心的な学者、

あるいはかなりの若手まで幅広い世代の論考が収録されています。

また、キーノート・スピーチを担当したロバート・オルターの文章も目玉として収録されています。

 

ブライン・ボイドのイントロダクションより。

 

Japan has a very active group of scholars, both Anglicists and Slavists, who work on Nabokov. Among them, Shun'ichiro Akikusa is widely regarded as the leading young researcher. In "Nabokov and Hearn: Where the Transatlantic Imagination Meets the Transpacific Imagination" he answers a simple question that has baffled readers of Nabokov for decades: [. . .] Nabokov knew little of Japanese culture--[. . .] but he would have been trilled too to find Shun rediscovering his first creative link to Japan. pp 9-10.

 

 Thank you, Brian!

 

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『プニン』についてのすぐれた指摘のあるロバート・オールター の主著です。
 
 
オークランド大会の前の国際ナボコフ学会京都大会の記録がこれです。
 

河原清志『翻訳等価再考――翻訳の言語・社会・思想』晃洋書房

 河原清志先生からご高著をご恵投いただきました。誠にありがとうございます。

 

河原清志『翻訳等価再考――翻訳の言語・社会・思想』晃洋書房

 

博士論文の書籍化、ということで、かなり専門的な内容ですが、

巻末の「主要概念の定義集」や文献リストは参考になりますし、

本文中にも主要な理論が抜粋とともにコンパクトに整理されているので、

実用的な面ももっていると思います。

 

かなり翻訳研究の学術書の出版に力をいれている晃洋書房さんからの出版というのもいいですね。

 

河原先生、ありがとうございました。