ノーベル文学賞に関連して、時事通信社とNHKにコメントを出しました。
(NHKのほうはすでになかったです)
時事通信社の方は年明け後もう一件ほど出しましたが、ネットでは出てきませんでした。
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
2019年の刊行予定をアップしておきます。
・(翻訳)マシュー・レイノルズ『翻訳――訳すことのストラテジー』(白水社)2月末
OUPのa very short introductionシリーズの一冊です。翻訳指南書というわけではなく(もちろんまったく役に立たないわけではないですが)、翻訳についていろいろ考えてみましょう、という本です。文芸翻訳に限らず、実務通訳から、グーグル翻訳やファンサブ、漢文訓読や漫画の翻訳など、多様な実例をおさめています。
アプターやモレッティが世界文学の理論編なら、こちらは実践編になるはずです。この本も2016年の秋から一年以上にわたって編集会議をおこなってきました。現在の世界で、文学を読むとはどういうことなのか。それは耳ざわりのいいことばだけではなく、片隅から聞こえてくる「ノイズ」のようなものにも耳を傾けるような態度になるはずです。新訳も多数収録しています。
・(アンソロジー参加)頭木弘樹編『トラウマ文学館--ひどすぎるけど無視できない12の物語』(ちくま文庫)2月
いち訳者として参加させてもらいました。『絶望名人カフカの人生論』『NHKラジオ深夜便--絶望名言』の、文学紹介者として活躍中のあの頭木さんのアンソロジーです。二作訳しましたが、なにを訳したのかはお楽しみ。
2019年は、このあたりが出ていくはずです(まだあるかも…)。よろしくお願いいたします。
2018年も終わりですね。今年は昨年力をためた分の成果をいくつか出すことができました。
自分の仕事で印象深かったものを三つ、あげておきます。
1 (単著)『アメリカのナボコフ――塗りかえられた自画像』(慶應義塾大学出版会)
七年越し、二冊目の単著を出すことができました。
2 (共訳)『翻訳地帯――新しい人文学の批評パラダイムにむけて』(慶應義塾大学出版会)
一年以上読書会を重ねて、やっとだせました。今年は慶應義塾大学出版会さん(の村上さん)にお世話になりました。
3 「「中西部のある大学」――佐伯彰一の見た「世界文学」(上)」『UP』5月号、33-40頁。
「世界文学の「発明」、マディソン、一九五〇年――佐伯彰一の見た「世界文学」(下)」『UP』47巻6号、2018年6月、6-13頁。
今年は新規の論文はほとんどないのですが、唯一これが次年度につながる感じです。
次点 (共訳)『ナボコフコ・レクション ルージン・ディフェンス/密偵』(新潮社)
初稿を送ったのが昨年、諸般の都合で異様に時間がかかりましたが、なんとかこちらも出すことができました。
来年の刊行予定は元旦にアップしようと思います。
みなさん、よいお年をお迎えください。
なお、今年出た・読んだ本で三つあげるなら――(ペイしなそうな人文書・研究書の翻訳から選んでみました)。
・ハビエル・アスペイティア『ヴェネツィアの出版人』 八重樫克彦、八重樫由貴子訳、作品社
日本語の本ですが、海外著者なので。
以下の会の司会をいたします(非会員要参加費)。
日本通訳翻訳学会関東支部では第51回例会を以下のとおり開催いたします。
【日時】2019年1月14日(月・祝日) 14:00~17:00
【会場】 順天堂大学本郷・お茶の水キャンパス第2教育棟5階501教室
東京都文京区本郷2-4-4
http://www.juntendo.ac.jp/ila/department/campus.html
【プログラム】
14:00~15:20 講演 河野万里子氏(翻訳家)
『星の王子さま』~私はどう新訳したか
15:20~15:30 休憩
15:30~16:00 対談 河野万里子氏・小林加津子氏・(司会)秋草俊一郎会員
16:00~17:00 質疑応答とディスカッション
【講演要旨】
アントワーヌ・ド・サンテグジュペリの名作『星の王子さま』の新訳を例に、
翻訳家の河野万里子さんに文芸翻訳の実践について語っていただきます。
対談では、河野さんと『星の王子さま』の編集を担当された小林加津子さんを交えて、
翻訳が完成するまでの翻訳者と編集者の協働作業を論じます。
【講演者紹介】
河野万里子 文芸翻訳家。おもな翻訳書にフランソワーズ・サガン『悲しみよ こんにちは』、
ルイス・セプルベダ『カモメに飛ぶことを教えた猫』、フランシーヌ・クリストフ
『いのちは贈りもの~ホロコーストを生きのびて』など。
小林加津子 新潮社
【事前申し込み】不要
【参加費】会員無料 非会員1000円 (学生500円)
『ナボコフ・コレクション ルージン・ディフェンス/密偵』が刊行になりました。
私は中編「密偵」の翻訳を担当しています。
「密偵」は、従来日本では「目」というタイトルで知られていた作品です。
小笠原豊樹さんと言えば、マヤコフスキーの研究でも知られる、ロシア語の達人でもありますが、この作品に関して言えば、ナボコフ自身による英語版 "The Eye" からの翻訳のようです。
そのこともあり今回は、最初のロシア語版、Соглядатайから翻訳しました。
ただし、そのため、むしろ「目」よりも日本人読者には難しくなってしまった面もあります!
書き下ろした「訳者解説」では、「密偵」「目」の異動や、そのコンテクストについて、(『アメリカのナボコフ』っぽく)触れています。
ですので、拙著『訳すのは「私」』、『アメリカのナボコフ』と合わせてお読みいただけるとより楽しめると思います。
よろしくお願いいたします。
日本ナボコフ協会の会誌『KRUG』の11号に、書評を寄稿しました。
[書評]Duncan White, Nabokov and His Books: Between Late Modernism and the Literary Marketplace 『Krug』11号、2018年、85-88頁。
ダンカン・ホワイトの本は、拙著と扱っているテーマも近いのですが、刊行時期が最近過ぎてあまり本の中には議論をとりこめませんでした。そのこともあって、書評を書かせていただきました。
『KRUG』11号の目次はこちら。
昨年にひきつづき編集を担当しました。
今号には、森慎一郎先生による、拙著『アメリカのナボコフ』の書評も載っています。私のナボコフ研究者としての歩みに言及した、とてもありがたい書評でした。どうもありがとうございます。
『KRUG』はバックナンバーふくめ、非会員も、以下のページから購入可能なので、興味がある方はどうぞ。