『ナボコフ・コレクション ルージン・ディフェンス/密偵』が刊行になりました。
私は中編「密偵」の翻訳を担当しています。
「密偵」は、従来日本では「目」というタイトルで知られていた作品です。
小笠原豊樹さんと言えば、マヤコフスキーの研究でも知られる、ロシア語の達人でもありますが、この作品に関して言えば、ナボコフ自身による英語版 "The Eye" からの翻訳のようです。
そのこともあり今回は、最初のロシア語版、Соглядатайから翻訳しました。
ただし、そのため、むしろ「目」よりも日本人読者には難しくなってしまった面もあります!
書き下ろした「訳者解説」では、「密偵」「目」の異動や、そのコンテクストについて、(『アメリカのナボコフ』っぽく)触れています。
ですので、拙著『訳すのは「私」』、『アメリカのナボコフ』と合わせてお読みいただけるとより楽しめると思います。
よろしくお願いいたします。