ナボコフのアメリカ到着直後の1940年におこなわれた二回目のニューヨーク朗読会は11月10日におこなわれました。また、現地紙『新しいロシアのことば』は予告を載せました。
121ウェスト54番街のアーティスト・クラブにて、明日の夜八時より、V・V・シーリンが自分の戯曲「事件」を朗読する。著者による朗読はいつも興味深いものだが、シーリンによる朗読はとりわけ芸術的で、アーティスティックなものだ。
『新しいロシアのことば』1940年11月9日号
「121ウェスト54番街」には現在「アーティスト・クラブ」は見当たりませんが、1940年代には亡命者たちが集まれるようなスペースがあったのでしょうか。
このときナボコフが朗読した「事件」 は、1941年4月4日にニューヨークのヘックシェル劇場で上演され、好評を博しました。
ちなみにこの戯曲「事件」は、最近出版された新潮社の「ナボコフ・コレクション」第二巻に収録されています。