前々回、朗読会の場所について紹介したので、いくつかニューヨークでおこなわれたほかの朗読会の場所を紹介しましょう。
はじめに、記録にあるアメリカ最初の朗読会の話です。
1940年5月にニューヨークに到着したナボコフは、その年にいくつかニューヨークでもロシア語朗読会をおこなっています。
まず、10月12日に、ニューヨーク公共図書館の分館であるハミルトン・グランジ図書館で、朗読会をおこないました。以下が現地の新聞にでた予告です。
10月12日土曜日、145番街の公共図書館で
V・シーリン(ナボコフ)の夕べ
作家が自作を朗読します。
紹介の言葉はL・I・タルタク。8時半開始。
『新しいロシアのことば』1940年10月10日号
マンハッタンの145番街にある公共図書館といえば、ハミルトン・グランジ図書館です。
https://www.nypl.org/locations/hamilton-grange
このときの反応は同紙によれば、
ロシア文化の支持者で協会のホールは超満員になり、聴衆は非常に温かく、ときに熱くさえ、作家を出迎え、一音一音を固唾をのんで追った……。巨匠自身が詩を解説し、詩の言葉にくわえて、表情、身振り手振り、抑揚をつけ、声を高くしたり低くしたり、韻律を転換したりした……。『新しいロシアのことば』1940年10月15日
ロシア語作家V・シーリンの名声は海をへだてた新大陸のロシア人にも轟いていたようです。
つづきます。