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目次公開 エミリー・アプター『翻訳地帯――新しい人文学の批評パラダイムにむけて』(慶應義塾大学出版会)

一年半がかりで共同で翻訳をすすめてきましたエミリー・アプター『翻訳地帯――新しい人文学の批評パラダイムにむけて』(慶應義塾大学出版会)が、版元のサイトに掲載されました。

 

以下に目次を公開いたします。

 

翻訳をめぐる二十の命題

 イントロダクション

イントロダクション

第一章 9.11後の翻訳――戦争技法を誤訳する

 第一部 人文主義を翻訳する

第二章 人文主義における人間
第三章 グローバル翻訳知――比較文学の「発明」、イスタンブール、一九三三年
第四章 サイード人文主義

 第二部 翻訳不可能性のポリティクス

第五章 翻訳可能なものはなにもない
第六章 「翻訳不可能」なアルジェリア――言語殺しの政治学
第七章 複言語ドグマ――縛りのある翻訳

 第三部 言語戦争

第八章 バルカン・バベル――翻訳地帯、軍事地帯
第九章 戦争と話法
第十章 傷ついた経験の言語 
第十一章 CNNクレオール――商標リテラシーとグローバル言語旅行
第十二章 文学史におけるコンデの「クレオリテ」 

 第四部 翻訳のテクノロジー

第十三章 自然からデータへ
第十四章 オリジナルなき翻訳――テクスト複製のスキャンダル
第十五章 すべては翻訳可能である

 結論

第十六章 新しい比較文学

訳者解説 秋草俊一郎
索引

 

版元の内容紹介も引用します。

 

 翻訳研究と文学を融合する

 9.11「同時多発テロ」以降、ますます混迷する世界状況にたいし、人文学はどのようなことばで相対することが可能だろうか?
著者は、「戦争とは他の手段をもってする誤訳や食い違いの極端な継続にほかならない」という定義から出発し、単一言語(英語)主義がうむ世界の軋轢に警鐘を鳴らしつつ、「翻訳」の観点から新たな人文学のアプローチを模索する。
 本書で俎上に上げられるのは、第二次世界大戦中のシュピッツァー、アウエルバッハの思想にある人文主義的コスモポリタニズム、スピヴァク、サイードの惑星的批評、ウリポなどの実験的な言語芸術の政治性、クレオールバルカン半島の多言語状況の文学、さらには現代アートと擬似翻訳を例にした翻訳とテクノロジーの問題……など多岐にわたる。
 「翻訳可能なものはなにもない」「すべては翻訳可能である」――二つの矛盾するテーゼを掲げ、言語と言語の狭間にあるものを拾いあげること、「翻訳中」のままに思考しつづけることを提言する。

 

 

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