訳すのは「私」ブログ

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『ブルーノの問題』書評

アレクサンダル・ヘモン『ブルーノの問題』の書評を書いてくださったかたがた、どうもありがとうございます。

 

牧眞司

 

「語りの技巧を隠し味に、虚実が入り交じるスパイ物語」『SFマガジン』2024年2月号、158頁。

「少しシュールで乾いたユーモアの作品だ。意識の流れやヌーヴォーロマン的な表現がさりげなく用いられている。」

 

永江朗さん 「戦時下の人々描く八つの短編」『毎日新聞』2024年1月27日号

衝撃的なのが「コイン」。<地点Aと地点Bがあり、地点Aから地点Bへ行くには腕利き狙撃兵から丸見え開かれた空間を通らねばならないとします。>という文章で始まる。

 

巽孝之先生 『産経新聞』2024年1月28日

この故郷喪失作家にとって、マクロな世界史的瞬間は自らのミクロな家族史的瞬間に等しい。[略]それにしても、ブルーノとは何者か。本書表題を1章として含む「ブラインド・ヨゼフ・プロネク&死せる魂たち」を熟読しても正体不明。作家自身がその歴史観に共鳴するポーランドユダヤ系作家ブルーノ・シュルツか、それともルネサンス時代のイタリアに生を受けながら、そのあまりの先見性ゆえに故郷喪失者となり異端審問にかけられ、それこそスパイとすら疑われたジョルダノ・ブルーノか。ヘモンが何層にも隠し持つ思考の裾野は、間違いなく21世紀アメリカ文学を牽引(けんいん)する。

 

www.sankei.com

三角明子先生 『図書新聞』No.3626 ・ 2024年02月03日

 

ヘモンは、一冊一冊の本とは、作者と読者が言語を介して形成する〈かりそめの共同体〉だと言ったことがあるが(『早稲田文学』二〇一四年冬号)、小説とは、なんと自由でありうるものなのか。

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