訳すのは「私」ブログ

書いたもの、訳したもの、いただいたものなど(ときどき記事)

『アメリカのナボコフ――塗りかえられた自画像』内容紹介

先日刊行された『アメリカのナボコフ――塗りかえられた自画像』ですが、

多少内容を紹介させてもらおうと思います。

 

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これが、『ロリータ』の内幕だ――

新大陸に移住後、『ロリータ』によってスキャンダラスな形で知られたナボコフは、いかにアメリカの大作家へと上りつめたのか。芸術家、文学者へと意図的に自己イメージを操作しながら、亡命者から「世界文学」への道程を歩んでいった作家の姿を、本邦初公開となる膨大な新資料を通じて描きだし、従来のナボコフ像を一新する。図版多数。

 

この「図版多数」というところですが、実際にどういう図版が使われているのか紹介します。

 

第一章 「亡命の傷――アメリカのロシアで」より

 

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第二章「ナボコフとロフリン――アメリカ・デビューとモダニズム出版社」より

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第六章「カタログの中のナボコフ――正典化、死後出版、オークション」より

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  付録の「アメリカ到着後の年譜と地図」。

 

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『海洋国家アメリカの文学的想像力―海軍言説とアンテベラムの作家たち』

貞廣真紀先生から共著書をご恵投いただきました。

 

中西佳世子、林以知郎編『海洋国家アメリカの文学的想像力――海軍言説とアンテベラムの作家たち』開文社出版、2018年。

 

貞廣先生は「島嶼国家アメリカへの道── 再建期、大西洋横断通信ケーブル、ホイットマン」という論文を寄稿しておいでです。

 

詳しい目次はこちら。

kansai-als.org

アメリカ文学系はかなり論集が頻繁に刊行されるイメージですね。

特に関西の版元が非常に頑張っている印象です。

 

 

 

あまりなじみのないテーマですが、この本を読んで勉強したいと思います。ありがとうございました。

『アメリカのナボコフ――塗りかえられた自画像』(慶應義塾大学出版会)

拙著『アメリカのナボコフ――塗りかえられた自画像』が刊行されました。

 

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前著『訳すのは「私」』が出てから7年以上もかかってしまいました。

しかし、その分そのあいだの研究の変化を可能なかぎりおさめることができました。

 

 

 

 

yakusunohawatashi.hatenablog.com

www.keio-up.co.jp

『翻訳地帯――新しい人文学の批評パラダイムにむけて』「イントロダクション」公開

エミリー・アプター『翻訳地帯――新しい人文学の批評パラダイムにむけて』の「イントロダクション」を特設サイト内で公開しました。

 

9.11の悲劇の余波をうけて、政治的な観点からも、腕利きの訳者がすぐにでも要ることがだれの目にも明らかになり、国家の安全を保障する機関は、傍受した情報や文書を解読する語学に長けた専門家を確保しようと躍起になった。翻訳とグローバル外交の関係が、かくも密になったことはなかったように見える。アメリカの単一言語主義モノリンガリズムは情報共有、文化・宗教の枠をこえた相互理解、多国籍協同の必要性が再認識されたこともあって批判を集め、翻訳は大きな政治的、文化的意義をもつイシューとして最前線におどりでたのだった。もはや、翻訳を国際関係、ビジネス、教育、文化のたんなる道具と見なすことはできない。翻訳は戦争と平和の重要事として、特筆されるようになったのだ。

 

www.keio-up.co.jp

 ちなみに、原書の刊行元のプリンストン大学のサイトでは第一章を読むことができます。

press.princeton.edu

 

 

 

『翻訳地帯――新しい人文学の批評パラダイムにむけて』ブックフェア開催のおしらせ

 

先月刊行した『翻訳地帯――新しい人文学の批評パラダイムにむけて』ですが、

現在『翻訳地帯――新しい人文学の批評パラダイムにむけて』刊行記念フェア

「世界はどこまで「翻訳」できるのか?」が、

三省堂書店神保町本店2階 文芸書フロアで開催中です。

 

yakusunohawatashi.hatenablog.com

特設サイトはこちら。

 

www.keio-up.co.jp

 

ブックリストはこちら

 

お近くにお越しの際はよろしくお願いいたします。

 

 

 

Nabokov' Hidden Connection with Japanese Literature: Or, What is Literary "Butterfly Effect"?

2013年3月3-4日に開催された国際研究集会「グローバル化時代の世界文学と日本文学——新たなカノンを求めて」の プロシーディングスが刊行されました。

 

Shun'ichiro AKIKUSA, "Nabokov' Hidden Connection with Japanese Literature: Or, What is Literary "Butterfly Effect"?" World Literature and Japanese Literature in the Era of Globalization: In Search of a New Canon -- Does it Make Sense to Discuss World Literature in Tokyo? ed. Mitsuyoshi Numano, The Department of Contemporary Literary Studies, The University of Tokyo, 2018. pp. 33-39.

 

この私の文章自体は、昨年刊行されたナボコフとハーンの抄録みたいな感じであまり意味はないですが。

 

yakusunohawatashi.hatenablog.com

ただほかの寄稿者はすごいメンバーです。

 

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マルク・リポヴェツキー、チャールズ井上、カレン・ソンバーなど、

豪華メンバーですね。

 

元になった会議自体の、当時、助教だった加藤有子先生のレポートがこちら。

 表象文化論学会ニューズレター〈REPRE〉:トピックス (3)

 

これ以上の規模の世界文学をテーマにした集会は東京では無理だろうな、と思っていたところ、今年IWLも開催されるようですね。主催者のバイタリティーには敬服です。

『アメリカのナボコフ――塗りかえられた自画像』正誤表

※この日の日記に『アメリカのナボコフ――塗りかえられた自画像』に誤字・誤植など見つかり次第アップしていく予定です。

 

13頁―14頁

すてきな助手が魔法のランタンのところにおります。

スライドを差しこんで、

……

……映写してください。

 

15頁、左から5行目

日と風と…→と風と…

 

17頁

をひもといて→ひもといて

 

18頁、左から8行目

不眠症だ→不眠症

 

24頁、4行目

一九四三年→一九四

 

60頁、左から5行目

tavern famous its→tavern famous for its

 

左から3行目

a sturdy old very like →a sturdy old German very like

 

98頁、4行目

ほかの共通デザイン → ほかと共通デザイン

 

115頁、2行目

検討さられたら → 検討されたら

 

121頁 この中にウィルソン以上のネームバリューがある作家はひとりもいない→この中にウィルソン以上の権威はだれもいない

 

156頁、左から5行目

suis découragéと読まれているのかも → なぜsuis découragéと読まれているのかも

 

157頁、左から3行目

バトヴォから」からの手紙だった→ バトヴォから」の手紙だった

 

168頁 地図内 ロジストヴェノ→ロジストヴェノ

 

203頁、左から7行目

使用された→使用された

 

215頁、2行目

踊っている人々の脚に視線からめとられてしまった――

 →踊っている人々の脚に視線からめとられてしまった――

 

237頁、5行目

六四の→六四

 

251頁、左から6行目

大江は高校生のころ「アナベル・リイ」の訳詩を高校時代に愛読し→大江は高校生のころ「アナベル・リイ」の訳詩を愛読し

 

253頁

 

尊敬していた亡き父親と同じ名前を→亡き祖父と同じ名前を

 

313頁、3-4行目

年鑑には→年鑑を見ると

 

314頁

ストルーヴェの中が→ストルーヴェの仲が