訳すのは「私」ブログ

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『翻訳地帯――新しい人文学の批評パラダイムにむけて』「イントロダクション」公開

エミリー・アプター『翻訳地帯――新しい人文学の批評パラダイムにむけて』の「イントロダクション」を特設サイト内で公開しました。

 

9.11の悲劇の余波をうけて、政治的な観点からも、腕利きの訳者がすぐにでも要ることがだれの目にも明らかになり、国家の安全を保障する機関は、傍受した情報や文書を解読する語学に長けた専門家を確保しようと躍起になった。翻訳とグローバル外交の関係が、かくも密になったことはなかったように見える。アメリカの単一言語主義モノリンガリズムは情報共有、文化・宗教の枠をこえた相互理解、多国籍協同の必要性が再認識されたこともあって批判を集め、翻訳は大きな政治的、文化的意義をもつイシューとして最前線におどりでたのだった。もはや、翻訳を国際関係、ビジネス、教育、文化のたんなる道具と見なすことはできない。翻訳は戦争と平和の重要事として、特筆されるようになったのだ。

 

www.keio-up.co.jp

 ちなみに、原書の刊行元のプリンストン大学のサイトでは第一章を読むことができます。

press.princeton.edu