訳すのは「私」ブログ

書いたもの、訳したもの、いただいたものなど(ときどき記事)

2016-01-01から1年間の記事一覧

ナボコフの値段② 原稿編

前回の内容(①書簡編)はこちら。 2回目は原稿の値段です。 原稿にかんしては多くが図書館などの機関に流れていて、一般に販売されるケースはまれです。 前回言及したグレン・ホロヴィッツ・ブックセラーは、戯曲『モルン氏の悲劇』の原稿を販売しているよう…

ウラジーミル・ナボコフ『見てごらん道化師を!』メドロック皆尾麻弥訳、後藤篤注、作品社、2016年

訳者のメドロック皆尾さんと注担当の後藤さんのお二人からご恵贈いただきました。 (表紙のデザインも実際に手に取ってみると、赤がシックで画像よりも素敵だと思いました。) 旧訳を出版していた出版社が現行ないことを考えると、 ある意味では自然な新訳で…

「書き直し」としての自己翻訳――ノーベル文学賞候補西脇順三郎の「神話」

論文を寄稿しました。 「「書き直し」としての自己翻訳――ノーベル文学賞候補西脇順三郎の「神話」」『アウリオン叢書16 芸術におけるリライト』弘学社、2016年、103-124頁。 昨年、白百合女子大学大学院の「書き直し、リライト」がテーマのオムニバス講義に…

ナボコフの値段① 書簡編

今回は文字通りナボコフの「値段」の話です。 ナボコフの場合、原稿はまれですが、サイン本、手紙なんかは 現在でも市場にでることがあります。 そもそもナボコフは「高く売られる」作家でした。 サイモン・ガーフィールド『手紙 その消えゆく世界をたどる旅…

フランコ・モレッティ『遠読――<世界文学システム>への挑戦』みすず書房③(追記あり)

①はこちら、②はこちら。 サブタイトルが「<世界文学システム>への挑戦」に決まりました。 価格が当初の4500円から4600円(税抜き)になってしまったのですが、 なぜか現在、Amazonでは100円引きの4500円で予約できています。 カバー画像がみすず書房のサイ…

ドミトリイ・バーキン『奈落に落ちて』(ISIAメディア出版社、ライプツィヒ、2016)を買ってみた

2015年4月に亡くなったドミトリイ・バーキンの本が今年の2月にでていたので、驚いてとりよせてみました。 なぜかドイツの出版社といろいろうさんくさい感じでしたが、 注文したらわりあい早くつきました。価格も送料込みで15ユーロ、 クレジットカードで問題…

フランコ・モレッティ『遠読』みすず書房②:目次など

どうやら、『ナボコフの塊』よりフランコ・モレッティ『遠読』(みすず書房)のほうが先に出そうです。タイトルの(仮)もとれました。 目次 近代ヨーロッパ文学――地理的なスケッチ 世界文学への試論 文学の屠場 プラネット・ハリウッド さらなる試論 進化、…

Nabokov and Laughlin: A Making of an American Writer

"Nabokov and Laughlin: A Making of an American Writer" という論文をNabokov Online Journalの10/11号(2016/2017)に掲載してもらいました。 *最新号はなにもしなくても全文読めるのかと思っていましたが、 やはり登録(無料)が必要なようです。 こち…

森泉岳士『ハルはめぐりて』(エンターブレイン)

森泉岳士さんの『ハルはめぐりて』(エンターブレイン)の英語副題作成に協力しました。 中学生の「ハル」が、ベトナム、台湾、モンゴル、日本の温泉地を旅するのですが、 森泉さんの筆による異国の風景描写がひとつの読みどころになっています。 もうすでに…

『英米文学における父の諸変奏――安田章一郎先生百寿記念論集』(英宝社)

ご共著書を中田晶子先生からご恵贈いただきました。 鈴木俊次、滝川睦、平林美都子、山口均編『英米文学における父の諸変奏――安田章一郎先生百寿記念論集』、英宝社、2016 中田先生は「顕在と潜在―ナボコフにおける父の形象」という論文を寄稿しておられます…

ナボコフとハーン トランス・アトランティックな想像力がトランス・パシフィック な想像力と出会うところ ――あるいは文学的バタフライエフェクト

前回のエントリで『れにくさ』の5号が公開になったことを書きましたが、 最新号の6号にも論文を寄稿しております。 「ナボコフとハーン トランス・アトランティックな想像力がトランス・パシフィック な想像力と出会うところ ――あるいは文学的バタフライエフ…

研究ノート:ロスト・イン・ミストランスレーション:ケネス・レクスロスの擬翻訳『摩利支子の愛の歌』をめぐって

以前書いた論文ですが、ここにあげるのを忘れていました。 今回、雑誌の最新号が刊行された都合で、電子版がレポジトリで読めるようになったので、エントリとしてあげておきます。 「ロスト・イン・ミストランスレーション:ケネス・レクスロスの擬翻訳『摩…

日本ナボコフ協会大会のお知らせ

5月9日に東京大学本郷キャンパスでおこなわれます。 くわしくは以下のサイトをごらんください。 The Nabokov Society of Japan 研究発表一本、シンポジウムひとつの予定です。 ふるってご参加ください。

小澤実・中丸禎子・高橋美野梨編『アイスランド・グリーンランド・北極を知るための65章』明石書房

共同研究者の中丸禎子さんからご恵贈いただきました。 まだパラパラ見ただけですが、 「アイスランド・グリーンランド・北極」という題に反して(?) その枠を超えたさまざまな切り口の文章が寄せられています。 58章「ヨーロッパ近代の根源と周縁――荒正人…

奥彩子・西成彦・沼野充義編『東欧の想像力 現代東欧文学ガイド』松籟社、2016年。

編者のひとりの奥彩子さんよりご献本いただきました。 シンプルなデザインですが、表紙の色味がいいですし、カバーの質感もいいです。 ぱらぱらと見ただけですが、作家ひとりひとりの紹介文もひきこまれる感じです。 二〇一二年二月一日、女性詩人としてポー…