「ナボコフのアーカイヴを訪ねて」二回目は議会図書館です。
1959年に『ロリータ』のヒットによってふりかかった莫大な税金を減免するために、ナボコフは手元にあった原稿や書簡の一部を議会図書館に寄贈することにしました。完璧主義者の作家は、寄贈後50年は一般公開を禁じており、一部の研究者にしか内容は知られないままでした。
しかし、半世紀を経て、2009年に無事公開されました。
言うまでもなく、議会図書館はワシントンDCにある全米最大の図書館です。
ナボコフ関連の資料は基本的にmanuscript devisionに所蔵されています。ここはバーグのように事前連絡なしには利用できないというほどの厳密さはないですが、やはりメールでアポイントをとると安心です。
議会図書館も何棟もの建物で構成されており、なかには観光客むけの建物もありますが、manuscript devisionがはいっている建物James Madison Memorial Bldgは巨大なコンクリートの塊といった風情です。
恒例の手荷物検査をうけて入館したら、まず議会図書館全体の利用カードを専門の部署で作ります。写真付きのカードは二年間有効です。
閲覧室はこんな感じです。マニュスクリプト・デヴィジョンの部屋の中にロッカーがあり、そこに必要なもの以外は預けることができます。ですので、ほかのクロークに荷物を預けなくても大丈夫です。
ナボコフが59年に寄贈した資料は、すべてマイクロフィッシュ化されたのちデジタル化されています。半日もあればすべてをUSBにおさめてしまうことも可能です。
問題は解像度で、私は読みとれないことが多々ありました。もちろん、解像度抜きにしても英語やロシア語のハンドライティングを読みとるのは難しいのですが、デジタルだとさらに難易度があがります。
前もって交渉すれば、生の原稿や書簡を見れる可能性はあります。ただし、基本的には出したがらないと思った方がいいです。
もうひとつ、たしかに資料は多いですが、議会図書館のナボコフ・ペイパーズのなかには、刊行された資料も多々あります(『賜物』第二部、「ナターシャ」etc)。ですので、やはり綿密に下調べしないと、時間の浪費をすることになります。
(そういえば、ここに所蔵されているナボコフとボーリンゲン基金のウィリアム・マクガイアの書簡が一部収録された『ボーリンゲン--過去を集める冒険』(高山宏訳)の邦訳が刊行されましたね。これを読むにはマクガイアの方のアーカイヴを調べないといけませんが……)
やはりfinding aidや、
たとえば、上記のグレイソンのものとか最低限見ておかないとまずいですね。
資料の充実度 ★★★★
使いやすさ ★★★
周辺の飲食店 ★★