ありがたいことに、共訳書のジョージ・ソーンダーズ『ソーンダーズ先生の小説教室 ロシア文学に学ぶ書くこと、読むこと、生きること』(フィルムアート社)に書評をいくつかいただきました。書評者の方と掲載媒体にお礼申し上げます(ほかにもありましたらこちらのエントリに追加します)。
郷原佳以先生『読売新聞』2024年11月24日
著者はまず、チェーホフやツルゲーネフの傑作短篇小説を読ませてくれる。そして、読んでどう感じたかを尋ね、確認しながら、小説が私たちにどんな作用を及ぼしたのか、個々の要素がなぜ必要で、どんな役割を果たしたのか、別の展開や語りならばどうだったかを、ユーモラスな比喩をまじえて驚くほど詳細に示してくれる。だから本書を創作志望者にとっておいてはもったいない。小説を読むことが好きな方全員に強くお勧めしたい。小説を面白がりながら、なぜ自分が面白がっているかを教えてもらえるのだから、こんなにわくわくすることはない。
宮迫憲彦さん(サヴァ・ブックス)『京都新聞』2024年11月30日
本書は書き方の本であると同時に読み方に関する本でもある。…小説を通じて人生の意味について考える本でもある。
[ソーンダーズ]の示すようにチェーホフやトルストイを読むと、それまで考えてもみなかったことに気づいてしまい、手品を見たような気分になる。…書くことと読むことへの思いに満ちあふれた一冊である。
創作指南書として有用であることを保証
小澤裕之さん『図書新聞』No.3670・ 2025年1月11日号
B「ソーンダーズ先生は、くり返し推敲することを推奨してるよね」
C「うん。私は最初、ソーンダーズ先生はあまりに楽観的すぎるんじゃないかって気がしてた。だって推敲したらかえって悪くなることもあるから。でも推敲するともっとよくなる、というよりは、推敲するともっと自分らしくなるって意味なんだね。推敲を先延ばしにしたことで、トルストイらしさは深まらなかったかもしれないけど、先延ばしにしたそのタイミングが、小説の完成度が極点に達する奇蹟的な瞬間と一致したんだ」
A「神秘だね」
B「書くことの?」
A「書きつづけることの」