訳すのは「私」ブログ

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ジョージ・ソーンダーズ『ソーンダーズ先生の小説教室 ロシア文学に学ぶ書くこと、読むこと、生きること』の「はじめに」公開

ジョージ・ソーンダーズ『ソーンダーズ先生の小説教室 ロシア文学に学ぶ書くこと、読むこと、生きること』の「はじめに」が版元のウェブサイトで全文公開されました。

 

以下で読むことができます。

www.filmart.co.jp

読むことの研究とは、頭の働きの研究である。ある主張が真実か、どうやって判断するのか。住む時代も場所もちがう他人の(つまり作者の)頭との関係においてどう振るまうのか。ここでやろうとすることは、本質的には、自分たちが本を読んでいるところの観察である(いまこうして本を読んでいるとき、どう感じるのかを再構成しようという)。なぜそんなことをしたいのだろう? そう、小説を読むときに働く頭の部分は、世界を読むときに働く部分でもある。私たちを欺きもするが、正確さを期すよう訓練もできる。使われなくなってしまうこともあれば、怠惰や暴力、目先の利益を求める力に私たちを染めてしまいもする。だが私たちを生に立ちかえらせ、より潑剌として好奇心旺盛で、目ざとい現実の読者に変えることもできる。