訳すのは「私」ブログ

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Nabokov@New York City0

1940年春、ナボコフ一家は戦火につつまれたヨーロッパを去り、サン=ナゼールから客船「シャンプラン」号に乗ってニューヨーク入りしました。


ナボコフがアメリカについたのは長らく1940年5月28日とされていました。
これはナボコフの伝記の定番とされているブライアン・ボイドのVladimir Nabokov: The American Yearsでもそうでした。



ところが、2013年に出版されたAndrea Pitzerの新しい伝記によると、実際にナボコフ一家が新大陸の地を踏んだのは5月26日だったということです。


1940年5月27日の労働局発行IDカード。


(恥ずかしながら)まだ拾い読みなのですが、このAndrea Pitzerの新しい伝記『ウラジーミル・ナボコフの秘密の歴史』のポイントの一つは米国市民権・移民業務局の資料を使っていることですね。また新聞記事などでも裏を取っています。このあたりは近年情報が開示されたのかもしれないですし、やはりアメリカ住みの研究者のほうが調べやすいでしょうね。



ボイドの伝記と逐一事実関係を照合しながら読んだら面白いかも(ひまなときに…)。


なんにせよ、いまだに伝記的事実が書きなおされているのは興味深いです。



The Secret History of Vladimir Nabokov

The Secret History of Vladimir Nabokov


Vladimir Nabokov: The American Years (Boyd, Brian//Vladimir Nabokov)

Vladimir Nabokov: The American Years (Boyd, Brian//Vladimir Nabokov)