アーカイヴ紀行も11回目になりました。
今回はウェルズリー大学です。
ウェルズリー大学一般についての情報はこちらもご覧ください。
yakusunohawatashi.hatenablog.com
ボストン郊外のウェルズリーに位置する名門女子大であるウェルズリー大学は、ナボコフが40年代のほとんどをロシア語教師としてすごした大学です。
そのクラップ図書館の上階に貴重な資料を集めたスペシャル・コレクションがあります。
ナボコフが勤務していた大学、ということで、さぞかし資料がありそうなのですが、実が1944年からウェルズリーの英文科で教鞭をとっていたシルヴィア・バークマンに、1949年6月8日にイサカからだした絵葉書一枚しか残っていません。
このはがきでナボコフは7月にユタ州のソルトレイクシティに行くので、あなたがカリフォルニアにいくのなら、途中でのせて車で連れていってくれたらありがたい、というようなことを書き送っています。
ちなみに、シルヴィア・バークマンはキャサリン・マンスフィールドの研究書も書いた人物です。
Sylvia Berkman was born in 1907, graduated from high school in Blackstone, Massachusetts, and received her A.B. from Pembroke College in 1928, and advanced degrees from Radcliffe College (A.M. 1937 and Ph.D. 1942). Between 1928 to 1936 she worked first for the Harvard University Press and later the Merrymount Press in Boston, Massachusetts. In 1944 she joined the English faculty at Wellesley College where she remained until 1972. A visiting lecturer at Stanford University (1959, 1966), she was also a fellow at the Radcliffe Institute (1964-1965) and a member of the Corporation of Yaddo, beginning in 1966. She was the author of Katherine Mansfield: A Critical Study, 1951; and Blackberry Wilderness, 1959, a collection of short stories. Her short stories also appeared regularly in magazines. She died in Cambridge, Massachusetts, in 1992.
Berkman, Sylvia. Papers of Sylvia Berkman, 1909-1989: A Finding Aid
なお、ナボコフはシルヴィアを1956年にはグッゲンハイム・フェローに推薦しています。またダブルデイ社の編集者にも彼女をすすめています(1958年12月)。
書簡に関しては期待外れですが、それ以外にウェルズリーがナボコフを教員として採用した時の資料や、 のちにウェルズリーの学生にナボコフがどんな教師だったのかをインタヴューしたときの資料などが残っていました(が、いまOPACをサーチしてもでてこず…)
またナボコフがサインして送った本が、それなりの冊数、やはり所蔵されています。
ボストンからアムトラックで行かなくてはならないやや不便な土地ですが、前にも書いた通り、なかなか素敵な街なので一見の価値ありです。
資料の充実度 ★
使いやすさ ★★★
街の雰囲気 ★★★★★