また鵜戸さんからいただきました。どうもありがとうございます。
カメル・ダーウド『もうひとつの『異邦人』――ムルソー再捜査』鵜戸聡訳、水声社
カミュ『異邦人』を殺されたアラブ人の側から語りなおすという本書は、(すでに刊行以降、日本でも書評がいくつも書かれていますが、)この本が書かれるまでにいたった前史についての訳者あとがきも勉強になります。
しかし、対抗言説によって真実の座を奪い返すというわけではない。語り手は殺された兄を語る母の「ことば」に呪縛され、亡き兄の影となりながらも「母のものではないことば」へと逃走する。フィクションの先生を批判する本書は、同時にフィクションの力に、それを作り出すことばの権能に意識的だ。「訳者あとがき」196頁
鵜戸さん、どうもありがとうございました。