エッセイ集を編む中で必然的に「これはちょっと無理かな……」というのがでてきます。
もちろん分量的な問題も大きいのですが(全部入れようとすれば、3巻本ぐらいにしないといけない、エッセイの範囲をどこまでにするか微妙だが、蝶についての論文だけでもゆうに一冊以上はある)、内容的にも難しいものが結構あります。
内容的に難しいものは、
1、内容が重複していたり(以前発表した文章を別の用途で使うときに手を入れたり、あるいはロシア語で書いたことを仏語で書いたり、英語で書いたことをロシア語で書いたりすることもある)、
2、扱っている内容が(日本人の読者にとって)マイナーすぎたり(書評の多くが該当してしまう……)、
3、そのほかの理由
3にあたりそうなのがこちら。
Gennady Barabtarlo ed."Textures of time: A Dream Experiment by Vladimir Nabokov" Times Literary Supplement October 31 2014 pp. 13-15.
内容はリンク先にあるように、1964年10月から1965年1月3日までのあいだ、ナボコフがつけていた夢日記になります。
この時期に限り、ナボコフはみた夢をインデックスカードに記載して残していたんですね。
64枚のカードの中から、上の記事では14日分の夢が公開されています。
内容は死んだ父親がでてきたり、妻がでてきたり、少女がでてきたりとさまざまです。
なぜこんな実験をおこなおうとしたのかと言えば、
[http:/https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%80%E3%83%B3/:title=ジョン・ウィリアム・ダン(1875―1949)]が1927年に書いた An Experiment with Time に影響されて、夢が過去だけではなく未来をも予知するということをたしかめてみようとした、ということらしいです。
この本と夢実験が、のちに『アーダ』に影響をあたえたのではないかとのこと。
An Experiment With Time (Studies in Consciousness)
- 作者: J. W. Dunne
- 出版社/メーカー: Hampton Roads Pub Co Inc
- 発売日: 2001/03
- メディア: ペーパーバック
- この商品を含むブログを見る
やや断片的すぎる内容で、翻訳に不向きかと思われます。